第2話 当惑
顔を洗いながら洸一は昨日までの記憶を辿り始めた。
埼玉県にある医療機器メーカーに新卒入社して15年になるが、3年前のきょう、開発部長に呼ばれ、ミッションに参加することを依頼された。
RHP
Regenerative Human Project、つまり再生人間プロジェクトに被験者として参加してくれないか、と。
再生医療はテクノロジーの進化と人体の理解が進み、かつて不可能と言われた腎臓の培養にも成功し臨床の場に登場することも時間の問題となっていた。
このミッションは会社が某国政府がスポンサーとなりわが社が再生医療関連の機器で実績があることから選定され協力することになったものだ。
あくまで依頼であって強制ではない。
洸一は「ぜひ参加させてください」と即答した。
SF好きで医学部出身でもある洸一は、小さい頃からコミックのコピーロボットや、自分の複製が社会に溢れるハリウッド映画に魅せられていた。
そして何より自分と瓜二つどころではなく人格や記憶まで同じ存在に対して、恐怖や不安に好奇心が圧倒的に打ち勝った。
その再生人間第1号がしかし眼前に現れた今、当惑を隠せない。
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