第4話悪夢
***
正面に半袖のブラウスを着て水色と藍色のチェックのプリーツスカートを穿いた水崎が目付きを普段よりも鋭くし、睨み付け佇んでいた。
彼女の鋭い目付きに怖じ気付き、どのように返答するのが正しいのかさえも分からなくなっていた。
というか、何故彼女に睨まれているのかさえ理解が追い付いていない。
放課後の教室で夕陽が室内に射し込み、オレンジ一色に室内が染まっていた。その室内に私と水崎梨子が黒板の前の教卓を挟み、向かい合っていた。
今の置かれている現状に向かうほどに彼女とは関わりがないはずなのだが。
それにしてもやけに静かだ。外の──グラウンドから聞こえるはずの運動部の掛け声ややじの声が聞こえない。カラスの騒がしい鳴き声すら耳に届かない。
ここは......何だろう。不気味に感じてしまうほど、無音で静寂だ。
それに見慣れた教室であるにも関わらず、どこか違和感を感じた。
教室に置かれた物の配置が微妙に違う。エアコンが設置されている配置が反対になっていたことに気付き、違和感の正体であるものに気付いた。
他にも彼女が着ている制服のブラウスの胸ポケットが反対に付けられていることも不思議に思った。
現実世界じゃ......ない、のか......ここは?
「黙ってないで早く、答えてくれないかな?」
苛立っているような声音で返答を急かしてきた水崎。
「えっ、いや......そのっええっと──」
「煮え切らないね。アナタはどうしたいの?」
私の様子に強い苛立ちを感じたようで、腰に手をあて訊いてきた彼女。
「......あっ、あのっ水さ──」
「もう、いいから」
私の返答を遮り、彼女が聞いたこともない低い声で吐き捨てた。
──私はアナタがき
「はぁはぁっ......なん、ていう夢......だ。嫌な内容だよ......」
彼女が言った吐き捨てた言葉の途中で目覚めた私。
息が荒く、身体中は吹き出した大量の汗で気持ち悪い。
上体を起こし、ベッドを降りて浴室でシャワーを浴びることにした。
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