第69話  トラック採用

マルメディア 首都ノイスブルク 王宮 国王執務室



こいつは驚いた!


フリードマン商会の自動車部門が、『輸送用自動貨車』を軍に売り込みにきたらしい。


試作車だが諸元を見ると、積載量が路外走行時3000ストーン(2.1t)、6×4の後4輪駆動の6輪車で最高速度が時速13バイレグ(52km/h)。


何だ、こいつは?


性能は不足しているが、欲しかったGMCのCCKWと言うよりは、まんまスチュードベーカーUS6だ。


6×6駆動ではないからか、車体前部にウインチまで付いている。


操舵輪を駆動させる技術は、未だ無いようだ。


馬車輸送の補給部隊では馬車限界もあって、長距離大量輸送は不可能だ。


だが、こいつがあれば、次世代の戦争にも対応できる。


異様に時代を先取りしたトラックだ。


カタログデータが本当なら、フリードマン商会だけではなく王立自動車工業でもライセンス生産して、一気に軍へ配備だ。


しかし、このフリードマン商会は、一体何者だ?


超絶美味いモンテ・アッズーロの紅茶から、時代を先取りしたトラックまで扱うとは…


フリードマンのスペルは、元の世界ならFriedmanだから、この世界ならフリートマンになると思うんだが…


トラックだけではなく、浄水器を備えた飲料水供給車、燃料輸送用タンク車、牽引車…


派生型も考えなければならない。


とにかく、正式採用して輸送部隊へ配備だ。


ええと、第一次大戦の機械化されていないレベルで、確か1個師団が1日に消費する物資は60tだったかな?


2t積みトラックで30輌、故障もするから予備車を5輌で、全線で荷下ろしする隊と集積所で物資を搭載する隊で1セットだから、1個師団70輌か。


これが、陸軍増強して90個師団だから…輸送型カーゴトラックだけで6300輌。


いや待て。


目指しているのは、第二次大戦でも戦える機械化された師団だ。


必要量は倍以上になっていた筈だ。


1個師団160tを想定すると、80輌×2で160輌。


稼働率8割で、予備車輌32の、ええと、192輌か。


これが90個師団で・・・17280?


1輌1000万だと、1700億か?


安いモノだ。


レヴィニアからブン取った賠償金で、補給用カーゴトラックが揃う。


ん?


何か忘れてるな…


自動車普及していないこの時代に、どうやって17000人も免許取らせるんだ?


いや、2名乗務だから、34000人か。


輸送トラック用大型免許、34000人規模の自動車学校って、何処かにあったっけ?


ってか、トラックの整備士をどこから調達してくるんだよ?


これもイチから自動車整備士学校立ち上げて、か?


士業だから、国家資格にして免許与えて…認可はどの省庁だ?


運輸省か?


その前に、食っていけるかどうか分からない職業に、誰が就職希望して入学してくるんだよ!


軍内に訓練学校を設けるしかないな…


そうすると、人手を取られて前線で戦う将兵の数が減る。


畜生!


何でゲームみたく、トラック配備したら、自動的に運転手と整備士が付いてこないんだ!?


ふざけんな!


責任者、出て来い!















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