第40話 擲弾筒
マルメディア 陸軍某所
何だ、この珍銃は?
「試製擲弾筒XM-2型。-弾丸は60モル×62(30mm×31)の榴散弾を使用する。危害半径6リーグ(6m)と認識したまえ」
「有効射程は点目標で70リーグ。最小安全距離は、15リーグ。銃口速度は毎秒60リーグだ」
何だその低速弾は!
とりあえず模擬弾を装填し、
模擬弾は薬室から飛び出してこない。
おいおい、
発射直後は高温になっている
何だ、この欠陥銃は!
「初弾の一撃で相手を抹殺する。その為に開発した銃だ」
相手は馬車か自動車に乗っている人間だ。
一撃って、移動目標相手に、この低速弾の短銃身の銃で狙えって?
馬鹿も休み休み言えよ!
大体、最低安全距離15リーグから狙ったって、市街地なら必ず間に人が入って射界が取れない。
山岳師団の歌には、『俺たちの辞書は欠陥品、不可能の項目が落丁している」ってあるが、今回の襲撃はどう考えても不可能だ。
「…そうか。とりあえず実包を渡すので、あの馬車を狙って撃て」
発砲する前に、馬車の手前に人型標的を二十体ほど
実包を装填せずに銃を構えて、馬車を狙ってみる。
駄目だ!馬車を狙うと、必ず人型標的が間に入る!
反対側の歩道から発射することを考えて、位置を変える。
車道越しの射撃となる。
上手いこと、通過する馬車や自動車が無ければいいのだが。
…しかし、これで最小安全距離15リーグを取れているのか?
もう少し距離を置かないと、こっちも危険だ。
とりあえず実包を装填し、撃鉄を起こして照準。
発射。
命中!
馬車は半壊した。
問題は…
「まずいな。馬車に近い位置の標的に穴が開いている」
そりゃあ危害半径6リーグなんだから、どうやっても無関係の市民に負傷者が出るよ。
そもそも、市街地で市民に被害を出さずに榴散弾を使うって行為が間違っている。
「う〜む…少尉、この襲撃に対する君の判定は?」
判定まで行かないよ、これは!
襲撃不能、だ。
「成功の見込みはありません」
正直に答えた。
「襲撃を成功させ目的を排除する為には、どのような方法があるだろうか?」
「市街地で市民に被害を出さず、移動目標に対してこの榴散弾を発射するのが、そもそも間違ってます」
そんなことも分からないのか?
「君ならどうする?」
「馬車、自動車から降りた時、または乗る時に、遠距離から…600リーグ程度ですか、狙撃します。なお、狙撃の前には、事前に排除目標の
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