第1話 久しぶりの幼馴染
母さんが今なんて言った? 結婚……。そういったよな母さんは、
「ちょっとどうゆう意味か聞いてもいい?」
「うんまあ、そのね。……結婚して欲しいっていう人がいて一緒に暮らしたいって言われたの。それでもし隆二は一緒に住むっていうのが嫌だったらお断りするつもり」
「……」
母さんが結婚。いや、再婚する。俺は別に構わない。母さんがこの人が良いと決めたんだから……。
「俺は一緒に住むってというのは構わない。ていうかいつから付き合ってたんだよ」
「それはまあ2年ぐらい前かな」
「俺、その人と会ったことある?」
母さんがこの家で男の人を連れ込んだのは見たことがない。
「それは会ったことあると思うよ」
「まじかよ……」
え、いつだ? いつ母さんはここに連れてきたんだよ。というか外でも母さんとあたことはあるが男の人と一緒なんて見たことがないぞ本当に‼
「まあ昔だから隆二は覚えているかしらって言っても小学生だったけど」
「小学生っ!?」
ドカッ! と反動で起き上がってしまい椅子と箸が地面に落としてしまった。
「え、ちょっと待って小学生に会ってたのに2年前に付き合ったってどうゆうことだよ? 頭が追い付かねえよ」
「そのままよ。昔遊んでいた雪子ちゃって覚えてないかしら? 雪子ちゃんのお父さんと仕事で一緒になって、お付き合いすることになったの。隆二の事覚えてくれててあなたのことも大事にするって言ってくれてた」
「……え、雪子」
「えぇ雪子ちゃん。あ、覚えてない? 仲良かったんだけどね隆二と雪子ちゃん」
雪子。その名前を聞いた瞬間、顔が鮮明に出てきた。
活発でよく笑ってていつも一緒にいた。俺にとって親友だった大事な子だ。
「……っえ?」
その雪子の親と再婚する⁉
「本当に……?」
「ええ、それで雪子ちゃんの家に住むっという形だけど知ってる人だったら隆二も気持ち的に大丈夫かなってどうかしら」
「それは、大丈夫だと思う」
「良かったわ。今度会うって約束してるから空けておいてね」
「あぁ」
知ってる人? っていうよりも雪子に会える? 本当に頭の整理が追い付かない……。
そこから一週間あまり寝てない日々が続いた。
◇
そして今日。雪子と会う日が来てしまった。
母さんはスマホを忘れてしまい後で合流するらしく俺は雪子のお父さん。新しい父親に会いに待ち合わせ場所に足を運んでいた。
「……まさか雪子と会うなんてな」
母さんの再婚も驚いてはいるがまさか雪子だとは思わなかった。
小学生のころに会った以来連絡はしていない。
流石に覚えてないっていうのはなくもないが生活出来るかどうかはやっぱり不安だ。
「覚えてるのかな雪子は……」
小さい頃はいつも駆けっことか遊んで何をするも一緒だった。食べ物とか半分こにして美味しいって笑顔が可愛かった雪子しか想像が出来ない。
「可愛かったんだよなホント」
そんなこんなで考え込んでいたら待合の場所に着いた。
「……ここだよな」
喫茶店アクア。一応母さんから聞いた場所と照り合わせても間違いはない。
……なんか聞いた場所なんだよな。
なんか誰だっけかこの場所を教えてくれた人。
「いらっしゃいませ~」
店に入りベルの音と共に女性スタッフが声をかけてきた。
「あれ、隆二じゃん。今日面接の予定だった?」
その場に居合わせたのは透いた。
「……ん」
透がいる?
透を見た瞬間一部の記憶が語り掛けてきた。
「あーそうなんだ。もうすぐで終わるのね~。それならさ知り合いが喫茶店を経営していて〝アクア〟っていうお店なんだけど次の場所そこに応募してくれない? そしたらめっちゃ助かるんだよね」
そうアクアだっていうお店だ。
あれ、この待ち合わせの場所ってアクアっていう店だよな。
ん? 透がバイトをしないかっていうのは喫茶店のアクア……。雪の親に会うところがアクア。あれ、同じ名前だな
「……てっ! 同じ店じゃん!!!!」
「ぬぁ! ビックリした。えっ、いきなり入り込んでどうしたの? あぁバイトね。店長を呼んでくるから」
「えっ待って透違うんだ」
「ん? あぁ普通に飲みに来たの席の方に――」
「い、いや今回はその……ちょっと人と待ち合わせしてまして」
親が再婚するっていうのは周りには言っていない。どうゆう風に言えばいいんだろうか。
「へえ待ち合わせ。それだったら奥の方に席だから案内するね」
「わかった。それとあともう一人くるから」
「了解」
そのまま透について行くと一人の少し痩せ細った男性と茶髪に肩まで伸び目が輝いていた少女が座っていた。
「それではなにかありましたら注文してくださいませ」
透がその場を会釈し立ち去って行った。
「初めまして隆二くん。君の新しい父親になる
「あ、えっと朝倉 隆二です。そのすいません母さん、母はその忘れ物をしてしまったので少し遅れます」
「ふふっ
一人で小さく笑っていてた。母さんに対して笑う。ただそれだけのことだけど凄く嬉しかった自分がいた。
「あっとこっちが私の娘の雪子」
「雪子です。あの……私の事覚えてるかな? 小学生の頃一緒だった」
ニコっと笑う姿は当時何度も見ていた雪子だ。
今まで現実のない霧みたいなところが一気に晴れていく感じ。
雪子がその場にいた。
「本当に小さい頃に遊んだ雪子?」
「――そうっ! うん、そっか私の事覚えてくれてる嬉しい!」
あかべこみたいに上下に両手をブンッブンッと掴まれよっぽど嬉しいのが伝わってきた。
「良かったな雪子」
「へへ……」
ドアベルの再度なり母さんが登場してきた。
「すいません遅れちゃって!!」
「真由大丈夫ですよ」
「えっといきなり再婚することになってごめんね雪子ちゃん」
「あ、いえお父さんも嬉しそうなのでこんな父ですがよろしくお願いします」
「それじゃあ沢山頼んでよ。真由さんは何を頼みますか?」
「そうねパスタとかも美味しそうねケーキも捨てがたいわ。雪子ちゃんは甘いものとか大丈夫?」
「え、はい大丈夫です」
ウンウンと雪子は何度も頷きメニュー表を開いて見れるとこっちをチラチラと見てきた。
「りゅ、りゅうでぃは――っ!」
あっ噛んだ……。
「隆二はは肉とか好きだっけ?」
「え、うん好きだよ」
「そっか……。うん、確かに肉が好きだったような気がする」
メニューを見てみるとおすすめと写真がデカく載っているオムライスが目に入り見えるだけでお腹が空いてきた。
「オムライス美味しそうだしオムライスにしようかな」
「オムライスか……私も隆二と一緒でオムライスにしてみようかな」
「じゃあ僕はボンゴレにしようかな」
「私はナポリタンにしようかしら。すいませーん注文いいですか?」
「はーいただいま」
透が注文を受け取るがこっちをチラッと見ていた。
「それにしても雪子ちゃん。小さい時から可愛いって思ってたけどこんなべっぴんさんになってるなんてね。ねえ隆二」
「――っえ⁉」
確かに可愛かった雪子なのに数年でこんなにも変わるなんて思いもなかった。
「そうだな。小さい頃よりも綺麗だなって思っているよ」
「えっ⁉ あ、ありがとう……えへへ。隆二に褒められるなんて嬉しい」
ガタッ!
「――っな! 隆二が女の子を口説いてる」
透が持っていた伝票が床に落ちていてまるで宇宙人を見たかのような信じられないといった表情を浮かべていた。
驚き過ぎだろ。
「いや、普通に口説いてないから透」
「聞いてたら口説いてるしか見えないんだけど……」
「なんでだよ!」
どっからどう見たら口説いてる風に見えてるんだ!
「え、私隆二に口説かれるなんて……。隆二のお姉ちゃんになるのにえへへ」
「だから口説いてないって!」
ないない、姉か妹なる雪子に対して口説くなんて。……あれ? 姉で良いんだっけそれとも妹だっけ?
確か雪子って俺より誕生日が遅かった気がするんだよな。
「隆二ちょっといいかしら」
「何、母さん」
「この子は隆二の彼女?」
母さんが透の方を指をさしていた。
「え?」
彼女? 透が彼女⁉
「いやないない。友達だって」
「どうも隆二君の友達でーす」
「どうも……」
透がお辞儀をするとみんなお辞儀をし返していた。
「あー漫画を貸すからさ。今はこの場所に目を瞑ってくれないか?」
「え~~…………ニヤッ。そうねごめんね仕事中だったのをすっかり忘れてたわ。じゃあご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「大丈夫です」
なんか不敵な笑み浮かべていなかったか?
透の方を向いてるとなんかウキウキとスキップをしていたが俺の気のせいか。
数十分しないうちに料理が届きテーブルに運ばれていった。
「ハートを描かれてるなんて恥ずかしいね」
「ハート?」
オムライスを見てみると俺と雪子のオムライスにケチャップでハートが描かれていだ。
さっきのメニューにはハートなんて写真には載ってなかった。
え、写真ば普通に描いてないのにおかしいって、
カウンターの方を見ると透が親指を立ててグットとしているのと隣に渋い顔の透と同じ従業員であろう店員がウンウンと何度も頷いていた。
いや、グットじゃないし頷きは一体何なの?
……いや、考えるのは良そう。透には学校で説明すればいいだろう。
「美味しい~~!!」
雪子の方を見るとオムライスを嬉しそうに食べてるとこおろがやっぱり幼少期の頃にお菓子とかを分け合って過ごした日々が蘇ってくる。
「それで隆二くんは家で住むってことでいいのかな?」
「大丈夫です」
「そっか、それを聞けて嬉しいよ。ありがとう隆二くん。まだまだ父親としても半人前だけれどよろしくね」
「はい!」
昼飯を食べ終えて俺たちは外に出て行った。
「じゃあ、僕と真由さんはちょっと市役所に行ってくるけど二人はどうする?」
「俺は……」
帰ろうと思ったけど雪子はこの後どうするんだろう……。
「ねえ隆二。久しぶりに二人で一緒にどこか遊びに出かけない? 話とかしたいし」
「そうだな。俺ももう少し雪子と話をしたいかな」
「……うん」
母さんたちと別れて二人で街中を歩いていった。
「ところでお父さんが再婚したわけだけど私が姉ちゃんでいいの? それとも隆司がお兄ちゃんになるんだっけ」
「俺は6月24日生まれだけど雪子って誕生日俺より遅かった気がしたんだよな確か」
「えっと11月7日だから……隆二がお兄ちゃんだね!」
「あぁやっぱり雪子妹か。妹ね……。まさか妹が出来るなんてな正直思わなかったな」
「私もだよ。お父さんが再婚するって言われたときはびっくりしたけど。まさか隆二がお兄ちゃんになるなんてね」
「だな」
すると目の前に小さい男の子がてくてく歩いてくる姿が見え少し遠い方からこれまた小さい女の子が走ってきた。
「待ってよお兄ちゃん!」
「はいはい。ほら行くよお母さんに買い物頼まれてるんだから」
「うん……」
手を握って嬉しそうにてくてくと二人で歩いていく姿だけど兄妹だなと思えてくる。
「仲良いねあの兄妹。微笑ましいね。実際のところ兄妹ってどんな感じなんだろうね……」
「どうなんだろうな。みんな兄妹の話とか聞くとけど喧嘩したとかが多かったな」
「あー言ってた。なんかすごいらしいよね。殴り合いになるとかに発展するらしいよ」
「マジで⁉」
「うん。みたいひっかきとか物を投げるのが日常だって」
「こわっ! なんでバトル漫画みたいな感じになってるんだよ兄妹喧嘩……。なんかこう口喧嘩ぐらいで収まるもんかと思ってた」
「ねー。怖いね。私たちもする?」
「お手柔らかにお願いします」
「はーい。でも殴るのは嫌だな。痛いし」
「わかる」
「兄妹喧嘩をやるんだったら隆二のお尻狙うから憧れだったんだよね兄妹のお尻を触るのぐへへへ。お姉ちゃんとスキンシップしようよ」
「いやん!」
俺の尻がピンチだ。
「もし触ったら私の尻触ってもいいよ」
「マジかよ。俺、雪子の尻触ったら嬉しすぎて心肺停止しちゃうな。……よし、100億年後に頼みます」
「ははっ! なにそれ」
「そう言っとけば来世で触り放題だから」
「変態がいる」
「ヤバいだろ」
「ヤバいねー」
でも雪子と喧嘩か。そんなになかった気がする。
「……私たちって本当の兄妹になれるんかな」
「あぁ……」
こう再婚して兄妹同士になったとはいえ少し不安がいるのは雪子も一緒なんだな。
けどこうちょっと兄妹ばかり悪いところばかりじゃなく楽しいと思える兄妹にしたい。
笑っている雪の笑顔が大好きだから。
「それなら俺たちが思う兄妹を探してみないか? 楽しい兄妹にさ」
「楽しい兄妹に?」
雪子が首を横に傾げた。
「そう、楽しい兄妹ってほら話を聞くと嫌だっていう人がいるけど俺らが楽しい兄妹になればそうゆう嫌だって話が少なくて済むと思うんだよ。殴ってくるとか聞かなくて済むし」
「え、良いねそれ。お尻を触るのは許可してね」
「わかったよ一緒に住んだらな。それで雪子はこう兄妹にあこがれとかあった?」
「もちろん!」
何度も首をコクコクと頷いていた。
「お下がりとか! 一緒にデートとか食べ物を分けたりとか!」
「あーわかる。お下がりのところとか兄妹いたら絶対に貰いたい」
「うんうん! こう、お兄ちゃんの服だっていうのがなんかこうやさしさ? っていう感じがありそうで憧れる!」
「あー! なんかわかる気がする。説明出来ないんだけどこう上の子が着たのだ! って嬉しい気持ちになるが話を聞いてると伝わってくる感じがするんだよな」
「本当にそれわかる! あとさっきの子もだったけど手とか繋いで帰るとか兄妹喧嘩とか憧れった!」
「すげーわかる」
小さい頃はこういった兄妹の憧れだっていう話はなかったけど。そっか雪子も兄妹に憧れてたんだな。
「ちょっと離れてたけどこうやってあえて兄妹の話が出来るのが嬉しい」
「めっちゃ楽しみなんだけど」
「ねっ!」
「じゃあなってみようか楽しい兄妹に!」
「うんなろう。楽しい兄妹にっ!」
そのあともちょっと食べ物とか小物とか見に行ってる間に夕焼けになっていた。
「もう夕焼けか」
「久しぶりだな雪子と楽しかった」
「私もめっちゃ楽しかったよお兄ちゃん」
「――っ! ……おぉ」
やばい、雪子にお兄ちゃんって言われて嬉しい!
「ん? あれ、照れてる?」
「ちょっと見ないで……恥ずかしいから」
物凄く今、心臓がバクンバクンなっていてニヤけてしまう。
「ふふっはーい。じゃあ私こっちだからまたね。来週、楽しみに待ってるからね」
「あぁ。俺も楽しみにしているよ。またな」
「うん」
雪子が家の方に向かって歩いていく。
再来週に雪子の家に住むという数日前の不安が消えていて楽しみしかなかった。
「お兄ちゃんか」
雪子にさっき言われて嬉しい余韻がまだ残っていた。
「楽しい兄妹。頑張ってみよ」
引っ越しの準備やらないとな……。
幼馴染だった義理兄妹 二髪ハル @2kamiharu
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