幼馴染だった義理兄妹

二髪ハル

プロローグ

「今までお世話になりました」

「いえいえこちらこそ三ヶ月間バイトありがとうね朝倉あさくらくん。これはほんの気持ちだよ」

「えっ! そんな申し訳ないですよ」

「いいのいいの。頑張った褒美だよ若い者が遠慮するなよ」

「はい。本当にありがとうございます」

 契約、三ヶ月というバイトが昨日終了し作業服を店長へ返却、と同時に別れの挨拶をしにいったのだった。

「あー腰いてぇ。次はなんのバイトをしようかな……」

 俺、朝倉 隆二りゅうじはバイト三昧といっていいほど色恋沙汰の青春がない。

 というか興味がない。

「ギャルゲーなんか面白いのあっかな……」

 こんな風にゲームで恋愛を擬人化体験をした方が幸せだ。

 というか俺が好きな人がいないって言うのが現実の事実だけど。まあ傷つきたくないというのは当たり前だけど。

 こうゆう風に言えば友人は「「当たって砕けるのがセオリーだろ!」」といって告白するが玉砕するのは日常茶飯事だしな。

  友人の悲しき真実を胸にそっと片隅に思うが三秒で忘れ俺はゲームショップに向かっていてソフトを手に持っていた。

 可愛い二次元の女の子が困り顔で、

『お兄ちゃんは大好きだって言いたいけど目の前で言えないの! でも大好き!!』

 と、長いタイトル名のブラコン妹ものを眺めていた。

「恋愛だったらな妹とかお姉ちゃんとしたいけどな」

 ああそれは無理だと言うのはわかっている。俺は昔から一人っ子だったから妹に愛してるって言ってもゲームの事なんだと誰もが温かい目で頷いてくるんだから。

 世間体では姉妹に恋愛感情なんて絶対に言っているけど俺だったら絶対に告白している。 

 一人っ子だからとう感覚だからわかんないけど。兄妹喧嘩とか物の取り合いとかお下がりとか羨ましいと高2になってからもいつも思うしな。

 そんな姉妹たちと買い物デートしてるんだから好きっていう感情は絶対に生まれてるんだ!

 姉妹兄妹がいる話を聞くと必ずといっていいほど嫌いだしって言ってるが俺が姉妹がいたら毎日好きだって告白している。

 ちくしょう……。姉妹がいるクラスメイト達め羨ましすぎる。

「よし、徹夜確定だな」

 そう、妹ゲーは神作だから仕方がない。

 そのソフトを持って俺はレジに並んだ。

「いらっしゃいませ……。てっ隆二じゃん」

 女性店員にいきなり名前を呼ばれ顔を見上げると知っている人だった。

とおるか。今回はここでバイトしてるんだな」

「見ればわかるでしょ今日、風邪を引いてる子がいるから応援」

 何気ない会話をしてるのは同じ高校でクラスメイトの新条しんじょう 透だ。

 少し前にバイトが一緒になってそこから仲良くなった女性友達だ。

「じゃあ、会計よろしく」

「はいよ。へーこれまだ買ってなかったんだ。絶対に全裸になってゲームしてるかと思った」

「ちょっと待てなんで全裸になってるんだよ!」

「だって隆二って妹になるとテンションおかしくなるじゃん。あとオタクだし」

「なんで俺がシスコンだってバレてんだ」 

「そんなの私もシスコンに決まってんじゃん」

 透は兄がいるが結婚していていなく。家には基本時に一人で暇してるらしい。

「現実の女性に少し興味持ったら? 私のおっぱい触らせてあげようか五億円でどう? あと会計は5720円ね」

 6000円を取り出しトレーに置く。

「五億円は高いわ。でも二次元の妹でお世話になるから大丈夫だ。だってお弁当であーんしてくれるからな。……楽しみだ」

「面白かったら貸してちょ。はいお釣り」

「はいよ」

 小銭のチャリンと言う音が俺の財布に響き渡る。

「あっ、隆二そういえば少しいい?」

「ん?」

「そういえば喫茶店の話どうする? やる」

「喫茶店?」

 喫茶店? ……あぁ、そういえばバイトが終わるって言ってたから透にそこで働いてみないか勧められたんだっけか。

「やるよ」

「はいよ店長に言っておく」

「サンキュー」

「まいどありがとうございました~」

 俺はゲームショップを出て俺は自宅に帰還した。

「ただいまー。あ、母さん帰ってる」

 靴を脱ごうとしたとたん母さんの靴があり俺はそのままリビングに向かった。

「ただいま」

 リビングに顔を出してみると母さんがキッチンに立っており料理をしていた。

「おかえり隆二。ご飯出来ているんだけどもう食べちゃったかしら」

「いやまだ。それとバイトの店長がお土産にくれた」

「ホント! 嬉しい。それじゃあ食後に食べましょ。手、洗ってきて」

「あぁ」

 俺は手を洗ってからテーブルに着いた。

「いただきます」

「いただきます」

 出されたハンバーグを口の中にどんどんを放り込む。

「……。…………っ」

 母さんの視線が多い。

 別に仲が悪いとかではない。

 父親と離婚して俺を引き取り育ててくれた母さんには感謝しかない。

「その隆二、今日のハンバーグどう?」

「普通に美味いけど」

「……そう、よかったわ」

「……」

「……」

 沈黙が流れてるが母さんがなにか言いたそうなのはわかった。

「隆二……」

「ん?」

 ここで空気が変わったのはその場で変わった。

 いや、多分この瞬間にわかったのかもしれない。


「あのねお母さん結婚をしようと思ってるんだけど。隆二は反対する?」

「えっ?」


 俺の日常が変化していくのを……。

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