第11話 洋館フロア

御伽噺の英雄でも、

な◯う系小説の最強主人公でも、

お化け屋敷は本当に怖いもので、

うちの二浪系の主人公はと言うと…。


「怖い怖い怖い無理無理無理無理!!

 お化け屋敷フロアとか聞いてないし

 いくら普段魔物相手してるとはいえ

 それとは違った恐さがああ!!!」


「由子、お化け屋敷じゃなくて、

 ここは洋館フロアだよ?

 人が怖がらせてるわけじゃない。

 みんな本物。みんな生き物。」


「本物だから怖いの!見る限り、

 何か私に憎悪抱いてるっぽいし!」


私の言う事は本当だ。

さっきから魔物の殺気が違う。


ゾンビやマミーなど、

アンデッド系がここの敵だからか、

それとも私の思い込みなのか…。


「大地さんは平気なの〜〜??」


「うーん、どちらかというと、

 科学的な物にトラウマがあって、

 科学を否定する存在は、

 正直ありがたかったりもする。」


「どんだけ物理嫌いなんだよ〜〜。」


だが奥に進むに連れて、

私は落ち着いて来た。


「いや、流石にこの階層長くない?

 ゾンビもマミーも慣れて来たよ?」


「どうやら次の階段は、

 魔物の力で隠されてるみたいね。

 フロアボスを倒したりしたら、

 出てくると思うんだけど…。」


「でも、フロアボスとか見たか?

 やっぱりもう少し奥まで探すか?」


その時、フロア全体を包み込む様に、

何処からともなく声が聞こえて来た。


「お前らぁぁぁぁあああ!!!

 どれだけ待たせる気だぁああ!!」


キョロキョロするが、何も見えない。


「上だよ上!上を見ろ!!」


上を見るとヴァンパイアが、

天井からぶら下がっていた。


どれだけぶら下がって居たのだろう。

ヴァンパイアなのに頭に血が上って、

顔が赤くなってしまっている。


「神音!品詞分解かんてい!」


「あいよ!情報を読むね!

 彼はヴァンパイア。個体名なし。

 コウモリの様な見た目で、

 人の血を吸う、以上!」


「知ってる事しか言わないなぁ…。」


「うるさいわね!

 大体この世界の魔物は!

 有名なやつばっかりだから!

 品詞分解かんていが必要ない!!」


完全に蚊帳の外のヴァンパイアは、

仕切り直す様に咳払いをして言った。


「ちなみに私は、フロアボスだ。」


私達三人の目の色が変わった。

神音が言う。


「ここは私にやらせて。

 こういう雑魚そうなのは得意。」


そう言って彼女は先頭に立つ。

ヴァンパイアも、舐められた物だと、

彼女の前でもう一度胸を張った。

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