第10話 ドドドスライム
「いきなり行って勝てるのか?」
草原フロアに入った時から、
ドドドの母の対策を話し合っていた。
神音が英語の能力者である事など、
様々な情報の共有をした。
ステータスが足りない気もするが、
上げようと思っても上がらないし…。
「勝算はあるかな。
まぁ私に任せておきなさいって!」
しかし今から沼地に行くのも面倒だ。
私は大地さんの肩に捕まった。
「神音もよく捕まっておいてね!
大地さん、等速直線運動!!」
「あいよ!」
大地さんは高速で草原を駆け抜ける。
しかしこれ乗り心地悪いな…。
やばい、酔ってきた。吐きそう。
あまりのスピードに、
何度か魔物を轢き殺した気もする。
スライム、ゴブリン、メガデューサ…
ん?なんか変なの混じってた様な…。
「僕また何か殺っちゃいました?」
「使い方が違うと思う…。」
大地さんの能力で、
あっという間に沼地の最奥に着いた。
「わたしの
彼女の種名はドドドスライム。
能力は…戦ったからわかるよね。」
ドドドスライムは私達に気付くと、
例によってスライム弾を乱射した。
「係数比較法、(右辺)-(左辺)!!」
係数比較法の能力は、
同じ質量の物体を消滅させること。
飛んで来たスライム弾は、
ペアでぶつかり合って消滅した。
スライム弾が破られて、
ドドドスライムが戸惑ってるうちに、
大地さんはドドドスライムに近付く。
まずは能力を使わずに拳で殴る。
するとすぐさま敵は四角く硬化した。
「それを待ってた!数値代入法!!」
(x,y)に数値を代入する事で、
ドドドスライムの形状を固定。
大地さんは呪剣で切り裂くが…。
「固い…!」
そう上手くは行かなかった。
やはりステータスが足りなすぎる。
かと言って相手も動けない。
戦場は完全に硬直した。
「本当に手を貸さなくていいのー?」
このスライムは私達二人で倒したい。
神音には待ってもらっているのだ。
私には力が無いけど、無力じゃない。
"
少ない力で相手を崩す事が出来る。
だが定数項は何処にも見つからない。
まるで自分の身体から切り離して、
何処かに捨ててしまったかの様な…。
「由子、後ろ!」
振り返るとドドドが居た。
スライム弾に混じって飛ばされ、
他の弾と違うから消されなかった、
ドドドスライムの"
ドドドは剣士の姿になり、
震えながらこちらに刀を向けた。
「剰余の定理。」
私は
-b/aの代入の余りで相殺した。
ドドドは消滅したが、それによって
ドドドスライムの因数を炙り出せた。
「これで決める!!因数定理!!!」
相手の数と同じ数をぶつけなくても、
因数を求めて代入する事で、
相手の数を0にする事が出来る。
ドドドスライムは戦闘力を失い、
ただの小さいぷるぷるになった。
「×5…×=€…*+÷÷…/」
スライムはもぞもぞと言葉を発した。
「ありがとう…そう言ってる。」
それはドドドの声だった。
正確には神音の翻訳だが、
それは確かに彼の言葉だった。
「大丈夫…わたしには聞こえてる。
本当の自分は、誰に対しても、
その人が喜ぶ姿に変われる、
そんな優しいあなた。」
「他の人を苦しませる為に、
人を攻撃する姿に変わるのは、
本当のあなたの姿とは違う。」
そして、神音は最後に、
意味深な言葉を残した。
「わたしたちは敵同士だけど、
いつかあなたを受け入れられれば、
そんな風にわたしは思ったよ。」
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