第6話 メガデューサ

「私の名はメガデューサ。

 メデューサで最強の頭脳を持つ。」


目の前の蛇髪の少女が言った。

メガデューサの名前の由来は、

眼鏡をかけたメデューサだから。


「メデューサなのに石化しないな。」


「私は勉強のしすぎで視力を失った、

 メデューサで最強の近眼だ。

 石化する力はないが、その代償に

 手に入れた頭脳でお前達を殺す。」


そして銃を取り出し、

大地さんに向けて発砲した。


「プランA 不意打ち。

 "初見"の人間はこれで死ぬ。」


「大地さん、危ない!!」


銃弾が大地さんに当たりかけた時、

大地さんの姿が一瞬にして消えた。


「わざわざ自己紹介有難う。」


声が聞こえたのは、

メガデューサの背後からだった。


「こちらも呪剣の能力を言おう。

 僕の能力は…物理科学だ!」


「プランB 乱射。

 速さではかわしきれない。」


「物理の力を見よ!999m/s!!」


大地さんはメガデューサの弾を、

一つ一つ正確にかわして行く。


それも距離を取る事もせず、

メガデューサの至近距離で。


「僕は物体の速さを自由に変えれる。

 だから君の攻撃は当たらない。」


「この速度の弾をかわせる人間。

 でも問題ない。攻撃が来ない。

 かわすのに手いっぱい。」


「次で終わらせる!

 プランC 速射!!」


「飛び道具は速いだけじゃないぜ?

 等速直線運動、0.5m/s!!」


大地さんはポーチから剣を出し、

メガデューサに投げつけた。


その剣はのろのろと、

メガデューサに向かって飛んでいく。


「そんな弾、当たらない。」


メガデューサが後ろに下がると、

何かにぽすんと当たった。

それは大地さんだった。


右に行っても左に行っても、

大地さんはそれに合わせて移動する。


「スカラーが足りなかったな。」


やがて大地さんは、

その速さから分身となり、

メガデューサの周りを取り囲んだ。


「いっ…嫌だ…。」


投げられた剣はゆっくりと、

メガデューサに近づき、命中した。


「遅い飛び道具は簡単にかわせるが、

 かわし続ける事で隙が生まれ易い。

 最初に君にかわさせた時点で、

 僕の勝ちは決まっていた。」


「私の計算より、強い…。」


「有効数字を間違えたんじゃないか?

 敵の強さを見極められないとは、

 フロアボス失格だな。」


今度は呪剣でメガデューサを殴り、

同時に手でメガデューサを押した。


「速度の合成だ。こうする事で、

 吹っ飛ぶ力が強くなる。」


メガデューサはすごい速さで、

宙を舞い、吹っ飛んだ。


だけど大地さんは合わせて走る。

メガデューサとの距離は離れない。


「お前がどれだけ速く移動しても、

 俺から見た相対速度は0m/sだ。」


メガデューサが着地するより速く、

大地さんは追撃を加える。


「っ…!チートだ…!」


「無限にコンボする事も可能だが、

 次で終わりにする!」


「等加速度直線運動!!!」


大地さんはメガデューサに能力を使い

メガデューサは強く吹っ飛んだ。


メガデューサの速度は一定の比率で、

どんどん加速して行く。


やがてメガデューサは、

地平線まで吹っ飛んだ。


「強い…!」


大地さんの力は、私が思った以上で、

レベルを抜きにしても、

能力だけでメガデューサを上回った。


「よっしゃ!これでレベル20だ!

 由子、そっちはどうだ?」


大地さんはこっちを振り向く。


ー由子さんの レベルが

      2に 上がりました。ー


「ん…?」


私は何となく察した。


この世界に転生した時、

ステータス補正などは無かった。


だけど私の能力はしっかりと、

レベルの上がり方に反映されていた。


「主人公体質〜〜〜〜〜!!」

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