第4話 神楽

神楽大地は瓦礫に腰掛けて、

何も無くなった街を見渡した。


静まり返ったハブの街は、

僕たちの心を冷静にした。


東側は全焼。西側にも延焼して、

ハブの街は、跡形も無くなった。


ー君は何を犠牲にしても、

 生きていかなければならない。ー


この呪剣を授かった時に受けた言葉。

これが呪いの様に僕を縛り付ける。


戦いに参加したくても出来なかった。

それでも僕には罪悪感が残る。


「生きてて良かったね!」


顔を上げると由子が居た。

本当に心からそう思ってるのだろう。


「笑って、泣いて、自由に生きて、

 そう言うのを体験した時に、

 人は生きてるって感じられる。」


「だから今の僕は、死んでるよ。」


その言葉を聞いて、

由子は空を見て言った。


「本当かなぁ…。」


「本当に生きてる人って意外と、

 死ぬ気でもがいてたりするのよ?

 だからさ…。」


由子はもう一度、

こちらを見て言った。


「私と一緒に塔に潜ろうよ。」


「怯えながら死ぬのを待つより、

 余程有意義な時間を約束するよ。」


少し考えた後、僕は答えを出した。


「魔物の巣窟に行って、

 死んだりするは嫌だ。

 だから…。」


「僕も一緒に塔を登って、

 絶対に死なない様に抗おう。」


この街では元の世界と同じ、

日本円の通貨が使われている。


僕たち二人は塔に行く前に、

街の復興にお金を全額寄付した。


もう街にはお店が残ってないし、

僕たちが持っていても仕方ないから。


「せめて服を買いたかったなー!」


隣に居るセーラー服の成人女性は、

大きく伸びをしながら言った。


「今失礼な事考えなかった?」


「え、いや、何も?」


塔の前で2人は立ち止まった。


「この上にに神が居る神階がある。」


「じゃあ、行くよ!!」


「「神階への塔へ!!」」

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