二一戒 兎対馬
試合開始のゴングが鳴り響いた瞬間だった。蛇亀の目が変わり一瞬でハシバの目の前に移動した。そこから蛇亀は湾刀をハシバの首めがけて思い切り振る。ハシバは蛇亀の速度に追いつき、刀で湾刀を受けるが触れた部分が一瞬で溶けた。もはや刀のガードは虚しく終わり、蛇亀の湾刀がハシバの首をはねた。
「え?えっと、勝者は蛇亀?」
あれほど熱狂的だった観客やマハルは現状に戸惑っていた。
「何を望む。」
馬将は勝った蛇亀に欲しい物を聞いた。
「そうだなぁ、じゃ、お前の使千器くれ。」
確かに、このまま使千器を奪えればあとは試合なんかしなくても逃げればいいからな。
「良かろう。だが使千器を手に入れたから逃げようなんて考えてないよな?」
馬将は上を指さす。そこには赤い膜のようなものにこの死合場が覆われていた。
「死合をするにあたり敵前逃亡は許さん。赤い膜が見えるだろう。触れば火傷では済まぬぞ。そしてそれを解除できるのは私だけだ。」
逃亡対策は万全のようだ。俺達は馬将の使千器である火縄銃を受け取る。
「さぁ、
馬将の言葉でマハルの調子が戻る。
「そ、そうっすね馬将さん!さぁさぁ皆さん、次は第二死合だよ!誰が出てくるのかな〜?」
眠兎がこちらに帰ってくると、蛇亀とハイタッチをして俺を見てきた。
「2回戦出ていい?」
「あぁいいぞ。ボコボコにしてこい。」
眠兎が死合場の中心に歩いていき、ギターケースを掲げた。
「眠兎でーすっ!」
向こうからは馬に乗った馬将が中心に出てきた。
「ここで馬将さん出陣だ!それでは第二戒戦、馬将対眠兎行ってみよう!」
試合開始の合図で眠兎はギターを取り出す。そして得意な演奏を始めた。
「最初から行くよ〜?六絃琴旋律・楽!」
ダンッ
馬将は鉄砲を放った。幸い、弾は眠兎を掠ってハズレた。
「あちゃ〜、これは相性悪いかもね!」
眠兎がギターをしまってケースから糸弓剣を取りだした。
両者は間合いを推し量りながら戦う。馬将はリーチにアドバンテージがあるため付かず離れず戦うが、眠兎の糸弓剣は接近しないと使えない。
「娘!戦う気はあるのか!」
一方的に馬将の銃撃が続く。さすがの眠兎も少し疲労が見えてきた。
バスッ――
馬将の弾が眠兎の脚に着弾。動きが止まった眠兎に容赦なく3、4発撃つ。両手両足に着弾し、完全に眠兎の動きが止まる。
馬将は眠兎に近づき頭に銃を突き付ける。
「娘、降参するなら命は取らない。ハシバは相手の力量を測り間違えただけだ。私は命乞いのチャンスを与える。」
眠兎の背負っているギターケースと、落ちている糸弓剣が震えているように見えた。。
「死にたくないけど、仲間のために頑張らなきゃだから!」
「残念だ。」
ダンッ―――
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