一九戒 馬
「いいか、それっぽいやつが出てきたら人目を気にせず仕掛ける。」
「奇襲して使千器を奪い取るって事ね〜。」
空港に先回りをして、赤丸から帰国するであろう十二支を奇襲する。俺達は今、一般の客に混じって飛行機からの出口を見張っていた。
「でも、十二支が分かったとして、そいつが使千器を持ってなかったら?」
「いや、それは無い。俺達にとって使千器は身分の証明みたいなもんだろ?多少の身バレのリスクはあっても、無きゃ困るのは十二支も同じだと思うぞ。」
空港は多くの人で溢れていて、少し目を話せば誰が誰だか分からなくなる。慎重に人並みを観察していた。すると、とある搭乗ゲート付近でスーツの人だかりを見つけた。俺は眠兎に着いてくるように促して搭乗ゲートに向かう。
聞き耳を立てると、スーツの男達はこんな会話をしていた。
「
「ほんとか、ならシャキッと待機してなきゃな。俺らみたいな下っ端でも十二支にお供できるんだから。」
搭乗ゲートから少し離れ、今聞いた事を眠兎に伝えた。
「その馬将って人が出てきたらその人を倒すなり殺すなりして使千器を奪えばいいわけね。」
俺達はゲート付近で待機した。
1時間半経過すると、飛行機がこの空港に着いたアナウンスが流れた。俺達も戦闘態勢になりゲートを見ていた。
ヒヒイィイィンブルル―――
馬に乗り、赤丸の袴のようなものを着ている男がゲートから現れた。俺は眠兎の肩を叩きゲートへ走った。叢雲を抜刀し、おそらく十二支であろうその男に剣を振る。
ゴスッ
男の乗っていた馬が俺に頭突きを繰り出す。俺は空中で体勢を崩し地面に落ちる。すぐさま受身を取って距離を離し剣を構えた。
「なんだ貴様は。私はこの印都を統べる十二支が一人、馬将である!名乗れい小僧!」
「俺は戒盾十三人の狼、光狼だ。こっちは兎の眠兎。お前の使千器を奪いに来た。」
馬将は十二支だった。周りのスーツの奴らは拳銃を構え俺達を囲む。
「貴様らか、
俺達も無駄な犠牲は出したくない。北夕鮮で嫌なものを見た後だからなのか、俺達はこいつに着いて行くことにした。
外に待機させておいたハティと因幡を見ると、馬将は驚く。
「ほう、こんな所にいたのか。小僧、私が勝てばこの支地干天を頂いて行くぞ。」
「言ってろ。」
俺達は馬将に着いていくと、英政府王国にもある闘技場のような場所を案内された。
「ここは古くから力を競う為の場所、
「ルールはこうだ。
一、三人一組でチームを組み、対戦する相手のチームと
二、一対一で勝つ毎に、敗者は勝者の望む物を差し出す。
三、先に2回勝った方の勝利。勝利したチームは負けたチームの首を取り勝利宣言をする。
四、審判は無し。だが、死合中の外野からの妨害は反則負けになる。」
ルールを聞き、眠兎が心配そうな目でこちらを見てきた。おそらく、眠兎の懸念は参加者の数だろう。相手は何人いるか分からないが、こちらは2人、数が足りない。
「では控え室に行ってもらおう。」
俺達の準備が曖昧なまま、馬将は俺達を強引に死合に参加させた。
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