一七戒 次の任務と蛇
「おかえり!結構早かったね!誰かが送ってくれのかな?」
あまり喋る気分じゃないのに、リオンはいつものようにウザったいほどグイグイ近づいてくる。
「龍の封碧辰は取れたが、眠兎の万符翔が取られた。相手の兎の使千器と交換で。」
眠兎はギターケースの中に入れていた弓糸剣をリオンに見せた。
「あ〜!大丈夫!万符翔はここにあるよ。」
リオンが指を鳴らすと、召使いが眠兎の万符翔を持ってきた。
「実はね、虎閃くん達の方が早く帰って来てこれを届けに来てくれたんだ。谷西露の兎をぶっ飛ばしてきたって。虎閃くん達は次の任務に向かったよ〜。」
見失った月兎は谷西露まで逃げていたらしい。戒盾が人間離れした身体能力なら、その血縁者もおかしいって訳か。
眠兎は万符翔を受け取ると目を潤ませる。
「良かった…。」
リオンはニコニコしながら封碧辰を眺めていた。
「北夕鮮の十二支はどうだった?」
俺は北夕鮮で起きていた内戦と、龍が国民にした非道な行いをリオンに話し、龍と交換条件で十二使千器を譲り受けた事を報告した。
「そっかそっか。ま、僕には関係無いからど〜でも良いけどネ。」
自分から聞いたのに、心底どうでもよさそうな声だった。
「あ、そうだ、君達は引き続き使千器集めしてもらうよ。そのまま行ってもいいし、一旦休んでからでもいいよ。任務の詳細は鼠乃に聞いてね。なんかあったら連絡してね〜。」
リオンは会議室から出ていった。
「どうする眠兎?一旦休んでから行くか?」
「そうする。」
俺達は政府庁にある戒盾各員の自室に向かった。
1晩経ち、眠兎は昨日の疲労と精神的ショックから回復したようだ。俺は透明の板で鼠乃を呼んだ。
「なんですか。今忙しいんですけど。」
「昨日リオンから、次の指示はお前に聞けって。」
「はぁ。次にあなた達に向かってもらうのは、虎閃さん達の行ってる
眠兎はボケっとしながら聞いていた。尻を叩くと頬をはたかれた。
「あ、あと、あなた達にも空路と陸路、水路を辿るための移動手段をお渡しします。」
透明の板に通知が来た。開くと位置情報が地図に表示された。
「そこに行けば陸海空すべてに対応出来る移動手段が確保できますくれぐれも機嫌を損ねることの無いように。」
鼠乃との会話を終え、眠兎と送られた位置に向かった。
送られた座標は、この政府庁から出て大通りを道なりに行き、大きなパン屋を左に曲がった所だった。
ガラガラガラ――
そこは鉄臭そうな町工場で、シャッターを開ける1人の若者がいた。
「お、来たな光狼に眠兎。」
「あ〜!
「お前らの
蛇亀が建物の中に来るように促す。俺と眠兎は支地干天というのを見に中へ入る。
建物の中は、外の見た目とは裏腹に陽の差す草原が生い茂っていた。よく見ると、幾匹か動物がいた。
「さ、光狼に眠兎。お前らの支地支天を呼んでみろ。」
蛇亀は笛を渡してきた。
ピー――
奥から2匹の動物が向かってくる。片方は狼、もう片方は兎だった。
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