一四戒 脱兎
俺は眠兎の攻撃を躱して眠兎を押し倒す。そして持っていた携帯食料と水で簡易耳栓を作り眠兎の耳に詰める。
「ほぁ〜!?良くやるじゃないか光狼くん!」
「っ……。」
ギターの音色だったものは、段々と不思議な声に変わっていく。おそらく眠兎の言っていた声だろう。
「まずいなこりゃ。」
俺は体の自由が効かないまま、突き刺した叢雲を抜いた。非常にマズイ。俺の腹を斬るつもりらしく、切腹の体制になった。
パツン――
「眠兎…!」
眠兎が糸鋸のような物で万符翔の弦を切ってくれたようだ。聞こえていた声が無くなり、体の自由が戻った。
「それは私の
ギターを持ちながら眠兎に歩み寄る月兎。怯えながらも弓糸剣と呼ばれる物を渡す様子の無い眠兎。
俺は叢雲から羽々斬を分離させて月兎に投げる。すると頭に直撃し、羽々斬は刃の真ん中辺りまで月兎の頭を貫く。俺はそのまま月兎に向かって走り叢雲で一撃入れようする。
「ぐっ……、そこか!」
「放狼。」
ギターで殴りかかってきた月兎の攻撃を既の所で躱して腕を斬り落とし、突き刺さってる羽々斬を握ってそのまま下に下ろし、月兎を真っ二つにする。
「パパ!!」
「大丈夫、死なない。こいつは十二支つって、悪魔と契約をして不死身なんだ。」
「え……?そうなの?」
眠兎は知らなかったのか。やっぱり、十二支についてはあまり詳しく聞かされてないようだ。
「詳しい話はあとだ。ひとまずダットの連中を説得……、もう遅かったか。」
俺は月兎が戦闘不能になってる隙に少しでもダットの動きを止めようと思ったが、扉から1人の子供がこちらを見ていた。
「きゃあぁぁぁ!!!」
子供は泣き叫びながら扉から逃げて行った。
「まずはダットのボスを戦闘不能に出来た。あとは組織を潰すための方法だが…。まて、月兎は!?」
真っ二つになった月兎が消えていた。血溜まりはそこにあるのに。眠兎の方を見ると、彼女は倒れていた。
「眠兎!あいつッ!」
口元を確認したら呼吸はしていた。眠ったか気絶しているか。
月兎はあの状況から逃げた。まさに脱兎のごとくだ。眠兎はヤツの弓糸剣を持っていたが、眠兎の万符翔が持ち去られていた。
ガチャ――
「おいなんだこれは!」
「ボスがいないぞ。」
「君たち、ここで何をしているんだ!」
どうやら、さっきの子供が大人に知らせたらしい。入ってきたダットは困惑しつつも、俺達を伺っていた。
「一旦待ってくれ、お前らのボスに仲間がやられて意識不明なんだ。」
「女の子か?でもボスはどこに……。」
ダットは敵意を見せなかった。俺は眠兎を抱きかかえダットの居住区に向かった。
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