一一戒 ダット
黒電話部隊の施設から出るとそこは恐ろしいまでの異形さだった。縦に伸びるビルやドームのような形でもない、ブロックの積み木が乱雑に積まれているかのような形だった。
「ああ、形は気にする事ないニダ。龍様のセンスニダ。」
「なんか凄いね……、独特な感性というか、ハハハ。」
「ダットと交戦中の最前線はここから南に行ったところニダ。交戦を避けるなら民間人やゲリラと同じ格好をすれば多少は上手く行くと思うニダ。我々は同じ顔で同じ髪型だから無理ニダけどな。」
黒電話部隊と別れ、俺と眠兎は南へ向かった。途中、あちこちで迎撃用の砲台や銃座を見た。敵に回したら相当厄介そうだった。
「光狼〜、これで本当に大丈夫なの?」
「ああ、信じろ。」
俺達は交戦中の街に着き、まだ傷の少ない民兵服を拝借し物陰に隠れていた。
「眠兎、気張れよ。不意打ちがいつ来るか分からねぇ。」
「分かった!」
物陰から物陰へ、なるべく人のいない場所かつダットに近づくように動く。
パキッ――
「誰だ。」
「う、動くな!お前たちどこから来たんだ!?」
ダットに見つかってしまった。
「俺達は前線の報告をしに行こうとしてたんだ。」
「なんだそうだったのかぁ。でも基地はずっと東の方だろ?こんなところでウロウロしてると危ないぞ。」
「そうだったな、ありがとう。」
震えて銃を構えたダットは直ぐに安心した顔になり銃を下げ基地の場所を教えてくれた。
ゴゴゴゴ――
建物の残骸を押しのけ壊しながら現れた巨大な鉄の塊。脚は人間のもののようにしなやかに動き、胴体は削岩機のような形をしていて、手は無いが、ワイヤーのようなものが蠢いている。頭頂部は丸く、赤い点が動いていた。
「な、なんでこんなところに
ダットは震えながら銃を構えて俺たちに逃げるよう促したが遅く、破壊者の切先が彼の頭にめり込む。そこからドッドッと鈍い音を出しながら彼の体を酷く破壊していく。
「眠兎。」
「うん。」
俺は叢雲を抜刀し、眠兎は背負っていたケースから、彼女の使千器を出す。
「てめぇ、よくも気色悪いもん見してくれたなぁ!」
"それ"を手にした彼女は豹変、温厚で眠そうな表情から反転し、怒りや嫌悪などの歪んだ顔に変わる。
「俺が斬るからそいつで援護してくれ。」
「あぁ!?んな事てめぇが指示すんじゃねぇよ。」
眠兎は持っている"それ"に手をかけ目を閉じる。
ギュイィィイィン―――!!
「あたしの今の気分は
その音は、破壊者の脚を挫けさせ、蠢いているワイヤーを暴れさせてる。
「
その音で敵を牽制し、味方の戦闘能力を上げる。眠兎の使千器はギター、名は
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