二戒 猪

「あー、蒼猪さんはここに来て長いの?」

「そうだなぁ、仕事辞めてから3ヶ月ぐらいでこの島に着いたから……、2年ぐらいか?」

「あーなら、うまい飯屋知ってるよな!」

 任務である蒼猪を見つけ、合流した三人は西にある政府庁に向けて準備をしていた。

 蒼猪の歩く道をついて行ってる途中、道の外れで複数人の騒ぎがあった。

「おい分かってんだろ?出しな。」

「す、すいません、もう無いんです…。」

 スーツ姿のイカつい人達が裕福そうには見えない男の周りを囲っていた。

「はぁ、またか。」

「蒼猪さん、何してんすかあれ。」

「アイツらはザク屋つってな、まぁチンピラみてぇなもんだ。あーやって力の無さそうなやつの金を脅し取るんだ。」

 3人がザク屋の方を見ていると、1人の男がこちらに気づいて近寄ってきた。

「何見てんだ?お前らもアイツを殴りたいのか?…………って、あんた蒼猪さんじゃないすか!!」

「誰だお前、お前こそ殴られてぇのか?」

「す、すいやせん!おいお前ら、蒼猪さんがいるぞ!」

 ザク屋は取り囲んでいた男を放してこちらにゾロゾロやってきた。

「「うっす、蒼猪さん。」」

「あ、お前らかっちゃんの所のか。何してんだよ。」

「仕事してました。頭の所行きますか?」

「いや、それよりお前らうまい飯屋分かるか?」

 飯屋に行く為に歩いてたんじゃないのか。と思った虎閃と光狼。

「そーっすね、事務所の向かいの焼肉屋美味いっす。」

「あそこか、ついでにかっちゃんのところ寄ってから行くか。虎閃、光狼、着いてきな。」

「お気を付けて!」

 ザク屋が1列になってお辞儀した。

「あー蒼猪さん、かっちゃんて誰なん?」

「あたしがここに来てボコッたヤツだ。でも強くてな、戒盾入れんじゃね?ハハハ。」

「そんなに強いのか、あー、戦ってみたいな。」


 ザク屋の事務所に着くなり、蒼猪は2人に言った。

「お前らは来んな。ここで待ってな。すぐ戻ってくるから。」

「見ちゃまずいもんでもあるんすか?」

「そんなところだ。大人しく待ってな。」

 蒼猪は、ビルと呼ばれる建物の扉を開けて中に入っていった。

 ザク屋の事務所はビルの5階にあり、看板には『ザク屋 かっちゃん』と書いてある。

 チリンチリン

 蒼猪はノックもインターホンも押さずに事務所の扉を開けた。

「かっちゃんいるー?」

「その声、蒼猪だな!」

 2人は目を合わせるなり、銃を放った。かっちゃんの放った弾は蒼猪の髪をかすめたが、蒼猪の弾はかっちゃんの額を貫いた。体勢を崩したかっちゃんに、蒼猪は飛かかる。

「相変わらず容赦ねぇな、死ぬぜこんなの。」

「何言ってんだ、死んでねぇじゃん。」

 2人は笑いながら話していた。

「何しに来たんだ?また暇つぶしか?」

「いや、今日は一言挨拶しようと思ってね。あたし、政府庁に行くことにしたんだ。」

「そうか、向かいの焼肉屋にでも行くか?奢ってやるよ。」

「さすがかっちゃん♡分かってる〜!」

 2人は事務所から出て、かっちゃんは虎閃と光狼と顔を合わせた。

「おう、てめぇらが戒盾か。死ね。」

 かっちゃんは出会い頭に2人をぶん殴った。



 来るな。来ないでくれ。

 これはオススメできない。

 なぁ。聞いてるか?君だよ。

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