世界一の勉強嫌い
小枝野鈹妹
勉強の本質とか真面目に考えてみる
少し面倒くさい話をする。僕は勉強が嫌いだ。
これは人一倍で収まるほどではなく、恐らく世界で一番勉強が嫌いだ。
ただ僕の勉強嫌いというのはただ面倒だから、楽しくないからとは違う。
例えば将棋を全くやらない人が、将棋ができなくたって悔しくないだろう。同じようにトランペットをやらない人がトランペットを吹けなくたって恥ずかしくはない。
僕にとって勉強はそれと一緒で、やらないからできないことに何も感じないしやりたいと思わないから、本当ならやるつもりもなかったはずだ。
しかしトランペットや将棋と違って勉強はやらなくてはならないものだ。
だから勉強ができないことは僕にとっては恥ずかしいことではないが、世間や親にとっては恥ずかしいことだ。だから勉強をすることをいろんな人が強要する。勉強を教える場として学校や塾へ通わせてくれたし、高い教材だって買ってくれた。しかし僕は勉強が嫌いで、教材は持て余すし、学校も塾もいけなくなってしまった。
学校に行けなくなったのは勉強が嫌いだからではない。ただそれも原因の一つではある。
僕が学校へ行けなくなったのは中学の三年からで学校を止めたいと思ったのは中学の一年からだった。友達はできなかったし先生やクラス、部活にも居場所がなくて、引き金になったことは勇気がないから書けないがいろいろあったのはそうだった。
でもこれらとは別に勉強が嫌いだというのは一つ大きな要因で中学一年の時から感じていた学校への大きな疑念はこの勉強嫌いが原因だったと思う。その疑念というのは勉強をすることそのもの。何故勉強をするのか、つまりそれだった。
僕に勉強を強要する人は将来のためか、お金を稼ぐためだとしか教えてくれなかった。
つまり馬鹿はお金が稼げないから生きていけないというわけだ。
馬鹿とは何だろう。トートロジーなことを言えば勉強ができない人なわけだが勉強ができないとはどういうことか。それは簡単な話、本能寺の変がいつ起こったのかが言えなくて一次関数がどういうものか説明できない人のことだ。何故それでお金が稼げないのか。本能寺の変が起こった年を言えば神様がお金をくれるのか、一次関数が説明できれば食べ物が湧いて出てくるのだろうか、そうではない。
では何故勉強ができないとお金が稼げないのかと言えば、勉強ができないと点数が取れなくて、結果として良い学歴が得られない。そうしたら労働の対価として支払われるお金が少なくなってしまうということだ。これが大人が端折って説明したがることだ。
これで納得のいく人は素直でいいが、僕は世界一勉強が嫌いなのでもう少し面倒なことを言う。
人は数字が好きだ。数値として証明されたものに強い安心を得る。だから価値に数字を当てはめて金額を作ったし、味を数値にして食べログにした。
だから勉強も数字だ。点数を大事にする。点数というのはその人がどれだけ勉強を頑張っているのかを決めるもので、極端な話し勉強を頑張れる人は愚直に努力の出来る人で人間としてのレベルが高いと考えているわけだ。
じゃあ点数が悪い人は努力をしていないのかというと必ずしもそうではない。
僕は絵をかくのが好きだ。だから絵を上手に描くために努力している。小遣いを画集や教材に使い、インターネットで絵の描き方を調べて勉強している。結果として今は人並み以上には絵が上手いと自負できる程度にはなった。
だが僕に勉強を強要する人も、世間も僕の努力を認めてくれない。テストの結果は勝手に見る癖に僕の絵は見せてもテストと同じようには評価してくれない。
なぜなら点数が無いからだ。僕の絵は点数がつかないから勉強のように努力したとは認められないし学歴には何の影響力もない。これは当たり前のことだが、同時に、
非常に理不尽なことだ。嫌いなことを我慢して努力することは偉いが、好きなことを頑張ったってそれは努力とは言えないとそう言っているのと同義なのだから。
悔しいけど僕の努力は認められないし、どうしても認められたければ、
勉強をして、正しい努力というのをしなくてはならない。ただ僕は勉強が世界で一番嫌いな男なのできっと正しい努力というのをこれからもしないだろう。
ただ、もしこの話をここまで読んでくれた学生がいるならあなたには頑張って勉強をしてほしい。僕はもうこんな小説を書くまでになってしまったけど君には頑張ってほしい。僕はこれからも正しくない努力を続けていこうと思う。
もし、それが実を結ぶことがあったらその時にまた読んでほしいです。
世界一の勉強嫌い 小枝野鈹妹 @tannkohebu
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