屁ロケット

俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

屁ロケット

現代日本のある晴れた日。

一本のロケットが飛び立とうとしていた。


『おめでとぉぉおおおお!!!!!』


『やったぞぉおおお!!!!』


『よくやった!!!日本の誇りだぁ!!!!』


『世界一だ!!!』


『日本の技術は廃れてなかったんだぁ!!』


『俺らの希望!!!!!』


『神よぉ!!!!!』


『世界をかえるんだぁあああああ!!!!』


ある人は現場で、ある人はテレビ越しに、ある人はその場面を想像して。


様々な場所で、歓喜の声が上がった。


『発射まで、10』


ロケットにしては小さめのそれに、乗り込んでいる人間はいなかった。


今回が初めての実用ということで、安全性の面を考慮した結果無人になったのだ。


といっても、科学力が随分進歩したので、AIで制御されたロボットが搭乗してるので、人が乗ってるのと代わりがないのだけれど。


『9.8.7......』


『とうとうこの時だなっ!!』


『もぅ、何年も…………』


『おい泣くなよ!!素晴らしい日じゃないか!』


『おぉ!!!空見ようぜ!!』


『俺らの努力が実ったんだな……!!』


『うぅ………これを待ってたんだ……!!!!』


『ほら、目に焼き付けよう!』


『上がってく…………』


技術人たちがロケットに最も近いところで、涙を流しながらその姿を見つめている。


『6.5.4.......』


アナウンサーの明快な声がカウントダウンを告げた。


『『『『『さんっ!!』』』』』


製造元の社長が叫ぶ。


『『『『『にぃっ!!』』』』』


技術リーダーが涙ぐみながら吠える。


『『『『『いっちぃ!!!!』』』』』


日本中……いや世界中がそのロケットの発射の最後の切符を切った。


『ブゥウウウオオオオォォォオオオオオオオオオオンンン!!!!!!!!』


けたたましい音とともにロケットが宙を舞う。


吹き出された空気とガスのマジッた気体が、噴出され、機体がどんどんと空へ上がっていく。


『やったぁ………』


このプロジェクトの総括責任者である男が、飛んでいくロケットを見て静かに涙した。


この日、日本の、世界の、人類の歴史に新たな一文が加わった。


『人類はついに自らの屁を溜めることによって、宇宙へ旅立つことを可能にした。』

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