不可解な世界

@perry529

報いを受ける時

「‥‥クズ野郎め。

‥この報いは、いつか必ず受けるぞ。


例え、今捕まらなかったとしても

‥‥‥‥来世にでも必ずな‥‥」



男は死に際に、 

苦しそうに顔を歪めながら、

喉奥から絞りだすかのような声で、

俺の目をじっと見ながらそう言った。



計画は完璧だった。

それは、まさしく完全犯罪であり、

警察がどう足掻いたところで、

捕まる可能性はまずないだろう。



犯行を終え帰宅した俺は、

愛用の青いソファーに腰をかけ、

テレビをつけた。



そして、それとほぼ同時に

男の最期の言葉を思い出していた。



(いつか必ず報いを受けるぞ。

 来世にでも必ずな。)


ふんっ。馬鹿らしい。

そんな輪廻転生みたいなものを、

本当にあると信じているなんて。


‥‥‥‥哀れな奴だ。



心の中であざ笑いながら、

俺は、目線をテレビにやった。



テレビは、過去の極悪犯罪者の特集をやっており、 


俺もコイツらの仲間入りかと

笑いながらテレビに視線をやり続けた。



どうやら、テレビの中のその男は、 

何とも非道な大犯罪を犯し、指名手配になったが、逃亡し続けた挙句、結局逮捕されることなくその生涯を終えたらしい。



なかなかこの男もうまくやったな。


そう思いながら、テレビを見続けていた俺は、ふとあることに気付いた。




‥‥‥テレビの中のその男の顔



その睨んでいるかのような細い目付き、

大きな鼻、

右目のすぐ下にある細い傷跡、

そして顔の輪郭‥‥‥



あの哀れな男に、

どことなく‥‥


いや、思えば思うほどあの男の特徴と酷似している‥‥




゛報いはいつか必ずうけるぞ゛




男の最期の言葉が再び脳裏をよぎった時


背中を冷たく気持ち悪い汗が流れるのを感じた‥‥。

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