54 作戦の後、まったりと
前回のあらすじ
義兄と義妹があいも変わらず茶番をしただけだった……
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「フィナさん。作戦が終わったのに、いつまで同じテントで過ごすつもりですか?」
「あら、真菜ちゃん。作戦は家に帰るまでが作戦って聞いたことないかしら?」
真菜のド直球の言葉に対して、微笑みを浮かべながらも言葉を返すフィナは、相変わらず強い女である。
「そんなの聞いたことないですけど?」
(遠足だな。まあ、戦い前後の真菜の行動を見ていると、彼女が“遠足”と揶揄したくなるのは解るな)
―と和真は内心で思うものの…… ここで口出しして、
「
と真菜がヤンデレ化したら― いや、確実にヤンデレ化するので沈黙を守る事にした。
「フィナさんって、良く<空気が読めない>って言われませんか?」
「いえ、初めて言われました。なので、今とても新鮮な気持ちです」
真菜の問いに対して素知らぬ顔で、しかも終始笑顔で返すあたり、さすが<特別顧問>に選ばれる人物だと言わざるを得ない。
真菜のお姉ちゃん的な存在の咲耶でも、このような返しはできないだろう。
その暖簾に腕押しのようなフィナの態度と返答に、真菜はこれ以上の会話が無意味であると判断したようで、これより東方国に帰るまでテントで共同生活を送ることになった。
その頃―
テントの外では、<次元の歪み消滅成功>と<謎のコスプレイヤー>の話題で、持ちきりであった。
<謎のコスプレイヤー>は、あのおかしな格好はともかくその強力な力は本物であり、第6の<マナ・ルーラー>でないかとさえ噂されていたのだ。
しかし、そうなると<何故あのような格好をして、正体を隠すのか?><何故あのようなおかしな格好なのか?>という疑問で、今度はその話題へと移り変わることになる。
そして、作戦部隊が<聖都ジートロス>付近まで帰還してきたところで、あのコスプレの正体が一昔前に流行ったヒーローアニメのキャラであることが判明する。
何故判明したかというと、プロパガンダのために今回の作戦成功の映像が、大々的に流され事が理由であり、その映像に映る和真こと<バシット>を見たアニメファンが声をあげたからであった。
ただアニメファンからは、<完成度が低い><やるなら、ポーズまでちゃんとやれ!>と厳しいコメントが飛び交うのであるが、それでも<あの大活躍は正しくバシットだ!>といった熱い支持が寄せられた。
そして、和真が帰路のテントの中でその反応をスマホで見ながら、ニヤニヤしていると義妹がこのようなことを言ってくる。
「
「違うわ!!」
「じゃあ、エロ画像ですね!?」
「そこから、離れろや!」
和真の強い否定に対して、真菜は”全て解っていますから♪”というような表情で、このような返しをしてくる。
「
「オマエが言いたいことは、だいたい分かるから言わなくてもいい」
和真とここまで読んできた読者なら、もう予想がつく言葉を義妹はその義兄のツッコミと読者の心の中のツッコミを無視して口にする。
「いいえ、
義兄には、義妹がこのセリフを言い終わった直後にその背後に ドゴォーン!!! と激しい爆発と共に轟音が響き渡った気がした。
「ちょっと、真菜ちゃん! 女の子がそんなはしたない事を言ってはいけません!」
今まで静かに黙っていたフィナが、ここで真菜に対して説教を始めた。
「そもそも前から思っていたのですが、アナタには年頃の乙女としての恥じらいと貞淑さが足りません!」
その内容は、神に仕える彼女らしいと言えばらしくはあるが、少々生真面目過ぎるものでもあった。
「大丈夫です。ちゃんと他人の前では、こんな破廉恥な事は言いませんから。
そんな彼女の発言を聞いて義妹は、自信満々でそのような言葉を口にするとそのささやかな胸を張る。
フィナが真菜の言葉に呆れて、モノが言えないと言った感じになっている一方で、その真菜の態度に対して、
「嘘をつくな、
和真はこのようなツッコミを入れ、フィナもそれに乗っかってくる。
「そっ そうです! 今私の目の前で言ったじゃないですか!」
すると、義妹は―
「 はぁ!?
ヤンデレ目+低い声で、義兄にヤンデレ選択を迫ってくる。
「久しぶりに聞いたから、チョー怖いんですけど!!?」
久しぶりに、ヤンデレ状態からのヤンデレ選択を聞かされた義兄は、耐性が薄れてしまっていたせいか、そのヤンデレ状態に震えあがってしまう。
しかし、この義妹― 数話ぶりのヤンデレ状態なのに、その恐ろしいヤンデレ思考に一切の衰えが無かった…… タイトルに偽りなしである。
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