32 義妹怒る!
「郁弥、マナの操作を教えてくれ」
「妹ちゃんに教わらなかったのか?」
「アイツは駄目だ。ギフトで一気に高レベルのマナ操作を覚えたから、コツとか訓練法とか知らないみたいだ」
「そうか… とはいえ、マナ操作は感覚が占める割合が大きいから、俺も『考えるんじゃない、感じるんだ』ぐらいしか言えないぞ」
郁弥はどこかで聞いたことがあるような事を言ってくるが、マナはある程度収束しないと光り輝いて見えないため、大気中に漂っているものを<感じ取る>しか無い。
その<感じる>事が人によって難しいため、マナ使いがオド使いよりも少数である理由である。
(こんなペースで、次にリナックスが襲撃してきた時、対抗できるだろうか… この間は、運良く真菜も咲耶も俺も助かったが、次も無事で済むかどうかわからない… )
この間のリナックスとの戦いで、終始押され続けた和真は、このまま戦えば次もまた負けてしまうと予想しており、そのために早く強くなりたいと焦っている。
(こうなったら、態と自分を危険な状況に追い込んで、ギフトを発動させてマナ操作が強化された状態でマナの扱いのコツを掴むしかない)
(とはいえ、いきなり実戦でそれをするのは怖いから、まずは保険の掛かった相手から行くか。幸い家には危険な相手がいるし)
その夜―
「
風呂上がりの和真に、真菜が声を掛けて来たので、彼女の方を振り向くとフォークが飛んでくるが、彼は頭を下げて回避する。
「おうっ!?(餌に掛かったか!?)」
後ろの壁に刺さり揺れているフォークをチラ見してから、義妹を見ると右手に次弾のフォーク、左手に和真が餌として自室の机の上に置いておいた<巨乳金髪美女のエロ画像>を持っており、当然目はヤンデレ目である。
なお、一度怒りでクシャクシャに丸めたのか、画像には無数のシワが付いている。
「
真菜のスタイルは、胸が少々控えめである以外完璧ではあるが、それ故にコンプレックスであり巨乳を敵視している。
「勝手に人の部屋に入った挙げ句に、人の物を勝手に持ち出して、更にクシャクシャにするという、不法侵入に無断借用、器物破損と自分の3つの罪を棚に上げて、よくそんな
「
「刑を黙って受けるのか、反省の言葉を言いながら受けるのか、どっちなんだよ!?」
真菜の矛盾に和真は、すぐさま突っ込む。
和真の作戦は、巨乳画像でヤンデレ化した真菜に自分を襲わせて、危機に陥る事で真のギフトを発動させるというものである。
そのため先程から態と煽るような言葉を返している。
「さっきから、何なんですか!? まったく反省していないじゃないですか!?」
「俺は反省するような事は、していないからな。俺は巨乳が大好なんだよ! このひんぬー!!」
和真はそう言った瞬間、真菜は左手の画像を捨てると、フォーク片手に和真に突進してきて、空いた左手で彼を突き飛ばす。
突き飛ばされた和真はそのまま後ろに倒れ、床に仰向けで倒れる義兄に真菜は馬乗りになり右手のフォークを振り上げて、義兄の頭上に勢いよく振り下ろす。
―が、彼の目の前数ミリの所でフォークを、寸止めしたためにギフトが発動しなかった。
「真菜…… どうした、やれよ」
「
和真は発動させるために、真菜を煽ってみるが
その表情は、傷心した少女の表情であった。
(俺ってヤツは、本当に馬鹿だ!)
義兄は義妹に,自分の勝手な都合でとんでもない事をしてしまったことに、ここに来てようやく気づいて自己嫌悪に陥る。
「悪い真菜… 実は… 」
和真は真のギフトの部分は伏せて、追い込まれて<火事場のクソ力>的なモノが目覚めないかどうか試したという理由にして、真菜に傷つけてしまった許しを請うことにする。
「なるほど… そんな理由だったんですね… 」
土下座する和真に、直ぐに頭を上げるように言うと、真菜は少し呆れた感じで義兄を見る。
だが、彼が<外れのギフト>で悩んでいることも知っているため、それで焦っての行動だと思い許してくれる。
「わかりました、許します。でも、二度とこんな事は、しないでくださいね?」
「ああ、もう二度としない!」
義兄の誓いを聞いた義妹は、ウキウキ笑顔でこのような事を聞いてくる。
「では、大きな胸が好きな訳ではないんですね?」
「ああ、俺はどっちかと言うと普通サイズがいい」
「普通サイズ… 」
真菜の瞳は再びハイライトが消えていく…
「あっ まずい…」
和真は自分の失言に気づくが、時既に遅くヤンデレ義妹は低い声でこのような提案をしてくる。
「
「どちらも嫌です!!」
「しょうがないですね… では、第三の選択肢として、
「わかった、第三の選択肢でいこう」
「
翌朝―
「どうして、一晩同じ布団で寝たのに、何もしてこないんですか!?
※肩透かしを食らった真菜が、手を出してこなかった義兄に対して、美少女ヒロインに相応しくない卑猥な言葉を使用したので規制しました。
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