09 ヤンデレ曰く、愛があれば罪ではないらしい
「目が、目がぁ~! チカチカします~!」
真菜は両手で両目を抑えながら、どこかで聞いたことがあるような言葉を言いながら、ベッドの上で悶えている。
「酷いです、
立場が逆転した途端に、自分の犯罪を棚に上げ自分をか弱い可愛い
「早朝にドアバックルを破壊し不法侵入して、馬乗りで動きを封じた
和真がそう突っ込むと真菜は、いつものように悪びれた様子もなく平然とこのように答える。
「外国では、キスはスキンシップです!」
「外国でもキスによるスキンシップは、唇ではなくて、ほっぺたやおでこ、手の甲だけどな! あと、オマエはキスの前後に犯罪をわんさかしているじゃないか!」
「そんなもの、可愛い
「相変わらず理論が無茶苦茶だな、
和真は自分の罪を棚に上げる真菜に、少し呆れると同時に<些細な罪>ではなく<些細な事>と言ってくるところに、罪と認めないという彼女の強い意思を感じる。
義兄の正当防衛の目眩ましは、罪と言ってくるのに…
和真のさらなるツッコミに、未だ目がチカチカしているので、目を瞑ったままのヤンデレ義妹はヤンデレ理論によるヤンデレ反論を行う。
「先程から、私の行為が罪だと言っていますが、罪というならむしろ
義妹がどのようなトンデモ論法で、自分の罪を誤魔化してこっちを罪人とするのか興味が湧いたので、和真は少し黙って聞いてみることにした。
「私の行為は全て
「オマエだよ」
聞き続けたことを後悔しながら、和真は冷静かつ呆れながらベッドの上でヤンデレ自己弁護を熱弁する自称可愛い義妹にそう突っ込むが、ヤンデレ義妹様は無視して
「そんな
罪を認めないどころかキスを要求してくる。
(流石は義妹、ブレないな)
そんな真菜に、和真は少し関心を覚えてしまう。
「さあ、朝ご飯を食べに行こう」
「放置ですか!?」
「いつまでも遊んでいると時間が無くなるからな」
和真がベッドの上の真菜を放置して、下の階に朝食を食べに向かおうとすると、義妹はこのような事を要求してくる。
「
「自分でおりろよ」
「
まあ、それも義妹の自業自得であるが、足を滑らせて怪我をしても困るので、何だかんだと真菜に甘い和真はその申し出を受け入れる。
おんぶしていると背中の真菜が、ニヤニヤしながらこのような事を聞いてくる。
「もしかして、私が
散々男の部屋に侵入してきて、稀にエロ展開を希望してくるクセに、今更何を言っているんだと思いながら、下手に反応すると余計イラッとする言葉が返ってきそうなので黙っていることにする。
「無視ですか!? 解りましたよ! 胸当てご褒美がないから、怒っているんですね! 浅ましい
真菜が頬を赤く染めモジモジしながら、和真に提案してくるが
「あっ お気遣いなく。もう少しでリビングに到着するので、背中で大人しくしていてください」
彼は丁寧にお断りする。
義妹は何かブツブツ言っていたが、おんぶされている事自体が、嬉しいのでいつものようにごねる事はなかった。
真菜が和真の隣で鼻歌を歌いながら、通学路をご機嫌で歩いていると後ろから咲耶が挨拶の声を掛けてくる。
「おはよう、和真。おはよう、真菜ちゃん」
挨拶しながら、和真達の横に並んだ咲耶は真菜の機嫌がいい事に気づき、何気なく訪ねてみる。
「どうしたの、真菜ちゃん? 今朝はやけにご機嫌ね?」
「ええ… おかげさまで、先程までは…。今は最悪な気分ですけどね」
咲耶の問いかけに、真菜は笑顔ではあるが、明らかに不愉快オーラを出している。
「そっ そう… 」
「でも、まあ今朝は良いことがあったので、咲耶さんも特別に一緒に登校することを許します」
真菜は謎の上から目線で、そう言うとまた嬉しそうに鼻歌を歌い出す。
そんな真菜に対して、和真と咲耶は苦笑いするしかなかった。
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