02 義妹 その2
「
「そっ それは… 」
和真に図星を突かれた真菜は、観念した表情で語り始める。
「フフフ… 流石ですね、
「まあ、長い付き合いだからな…」
「理由はなんだ?」
彼は一応理由を聞いてみる、解りきっているが…
「そんなの決まっているじゃないですか? もちろん、起こすのを言い訳にして、大好きな
真菜は重度のブラコンであったが、彼女の属性はまだもう一つある。
「酷いです、
彼女は瞳を潤ませながら、和真に自分の想いをぶつけるが、和真はそんな彼女に冷静にこのような質問を行う。
「じゃあ、聞くが… オマエが俺と付き合ったとして、俺が他の女の子と日常会話していたらどうする?」
和真のこの質問に対する真菜の答えが、彼が義妹という理由以外にこの美少女の好意を受け入れられない理由である事がわかる。
「はぁ?! そんなの許すわけがないじゃないですか? 浮気行為としてお仕置きしますよ。そうですね… 暫く他の女と話できないように、私の部屋に監禁しましょうか。三日… いえ、一週間ぐらいですかね。反省してくださいね、
真菜は<当然です>みたいな表情と声で即答する。
だが、その瞳からは光沢が消えており、所謂ヤンデレ目になっていた。
「そんなヤバイ思考の持ち主と付き合う訳が無いだろうが!!」
「なにが、ヤバイんですか!? 彼女としての当然の権利じゃないですか!」
和真のツッコミに、真菜も負けじとトンデモ理論で反論してくる。
因みに二人の朝は、ほぼ毎日このような感じで、和真が<気配察知Lv1>のスキルを習得したのも、毎朝の真菜による寝込みへの襲撃に反応しているうちに得たモノである。
それ以外にも、ベッドへの侵入を許してしまいそこからすぐさま抵抗していたら、習得できた<反応強化Lv1>もある。
「私の
しかも、それに対して真菜は、このように自分の犯罪スレスレの行為を棚に上げ、スキル習得を自分の手柄にする始末である。
因みに昨日より30分早く、忍び込んだのは<気配察知Lv1>があっても、6時半ならば感知で起きても眠さが勝って、2度寝する可能性があると考えたからであり、作戦継続で明日は6時に忍び込むことになる。
こうして、二人は今朝も不毛な言い争いを7時までおこなって、早起きを台無しにすることになり、二人は慌てて教会が運営する【討伐者育成学校】に通学する準備を始める。
討伐者を諦めていた和真は、高校は普通の学校に行くつもりであったが、彼が14歳の時に事態は一変する。
アグレッサーの大規模侵攻の迎撃作戦に就いていた父親が、殉職してしまったのであった。
そのため、母親まで殉職させる訳にはいかないので、ユビキタスは彼女を内勤に転属させる措置をとる。
そうなると、当然給料は下ってしまい、母親の給料と少額の遺族年金だけでは、二人を高校に通わせるのは難しくなる。
そこで、和真と真菜は母親の負担にならないように、授業料が無料の【討伐者育成学校】に、進学を決めたのであった。
卒業して、5年間任期を勤めあげれば授業料は返還せずに済むので、母親のように内勤に就ければ生きて任期を全うできるであろう。
そのため、和真はこの一年間戦闘スキルは程々に、事務系スキルをあげている。
二人が戸締まりをして家を出た時、時計の針は8時を刺していた。
「まあ、ここから学校までは20分だから、少しだけ走れば余裕だな」
通学路を暫く駆け足で走っていると、二人の前に見慣れた人物が歩いている。
それは、二人の幼馴染<御堂咲耶(みどうさくや)>であり、彼女は和真と同い年の17歳で、同じく【討伐者育成学校】に通っている2年生である。
咲耶は黒髪ロング清楚系美少女(あくまで見た目)の真菜とは対称的に、染めているのか脱色したのかは解らない肩より少しだけ長い茶髪で、顔は真菜に負けないくらい整っているが、少しツリ目の活発系美少女である。
もちろん、ツリ目という事でおわかりと思うが、テンプレ通りのツンデレキャラである。
「咲耶に追いつけば、もう安心だな」
茶髪の咲耶はツンツンな言動と相まって、一見不真面目に見えるが真面目であり、そんな彼女に追いついたという事は、遅刻は無いということである。
そのため、和真は咲耶に追いつくと駆け足を止めて歩きにシフトチェンジするが、真菜は当然和真が咲耶の側にいる事は許せないので、駆け足のまま彼の腕を掴んで引っ張り先を急ごうと促す。
「
だが、これ以上朝から走りたくない和真は、拒否して引っ張る手を振りほどこうとするが、真菜は持てる握力を総動員して、振りほどかれないように頑張っている。
「走ら無くても、もう大丈夫だ。歩いて行こう」
和真は振りほどこうと腕を振りながらそう言うと、真菜は天に向かってこう嘆き始める。
「私の握力がもっとあれば、言うことを聞かない
「神様! お願いですから、止めてください!」
和真も腕を振りほどきながら、天に向かってお願いする。
「貴方達…。朝から飽きずによくやるわね…」
その二人のやり取りを見た咲耶は、何度も見てきたこの光景に呆れた表情でそう呟く。
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