カエルの声
なんといっても、IT革命以来の日本はどこに行ってもインターネットが普及し、スマホなんてものは全人類が持っているのではないかと思うくらいに必需品となっている。どこにいたって最新のコンテンツに触れ、欲しいものが手に入る。場所を選ばない生き方が出来るようになった。
そんな中でも、やっぱり田舎はあるもので、なんて言うには今では結構便利になったけど、私はそこそこの辺鄙な土地で生まれ育っている。
うちの小学校までは歩いて1時間。その間に信号はない。お店は酒屋でありスーパーであり駄菓子屋でもある店が一軒。全校生徒数は100人未満。どの家もみんな知り合いみたいなもんだ。
久しぶりに帰るとなんとも言えないゆっくりした時間を感じる。ゴールデンウィーク、東京の喧騒から離れ、青々とした空気を吸うのはとても良い心地よさがある。
夜になるとすーっと大地から香る風が通った。いつもはベットだが、実家では畳に布団を敷いて寝る。これもまた良いもんだ。
さあ、寝ようか
その時だった。今まで全く聞こえなかった「カエル」の声の大合唱が始まったのである。
正解に言うと、今までも鳴いていたはずではあるが、本当に気にならなかったから不思議なもんだ。
忘れていた。田植えの季節、田んぼには水が張られ、待ってましたとカエルが飛び出してくるのだ。
「東京の方が静かじゃん」
久しぶりの喧騒で眠れなくなってきた。さっきまで気にならなかったのになんでって思う。
まあでもそんなものなのかもしれないな、と。人はみんな聞きたくないことや、ほかに気になることがあらば周りの声なんて聞いてないし聞こえないもんね。
なんでまた高尚な考えにふけながら、眠りにつく。
高尚かどうかはさておき、自分の中でこう頭を動かし始めたらまたカエルの声は遠くなった。
明日には東京にカエル。
くだらない事ばかり考えていたら、気づけばぐっすり眠れました。
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