第3話 心の中の霧

ある日、母からおばあちゃんが心不全で倒れたと話された。

みんな心構えをしていたが、一命をとりとめた。

みんなホッと安心していたが、これを機に心配性に磨きがかかって行った。

それからおばあちゃんは、薬を毎日飲まなくてはいけない日々となった。

どこに行くにも必ず『お薬持った?』と聞き、

食べた後は必ず『お薬飲んだ?』と聞く。

そんな生活だった。

それでも、おばあちゃんは『しつこい!』とも怒らずに

ただただ、純粋な穏やかさで、優しい笑顔で

「持ちましたよ、心配してくれてありがとね~」

そう言っていた。

そうやって会うたびに毎回、薬の確認などしていたのに

おばあちゃんの容態は少しずつ悪化していっていた。

それも、私達にはわからない程の小さなスピードで、、、


確実におばあちゃんの体は蝕われていた。

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