第67話 チロの選択③

翌朝、元気いっぱいに起きてきたおちび達。



「「「おはよーごじゃいましゅ!」」」



「あらあら元気ね、顔を洗いましょうね」



エチカはメイド達と一緒におちび達の顔を洗うのを手伝う。その後着替えてカイデル達が待つ部屋に、エチカと一緒に現れたおちび達。



「じーじとばーば、とーしゃんおはよーごじゃいましゅ!」



「「おはよーごじゃいましゅ!」」



「おはよう、元気で何よりだ」



「そうね」



カイデルとビビアンは、微笑ましく見つめて声をかける。だがその後直ぐに、おちび達を一人一人椅子に座らせていくエチカに驚いている。そして最後に前掛けをしてあげると、おちび達は一斉に食べ始めた。



「手慣れているわね…」ビビアンが呟く



それにカイデルも頷き、昔から逞しい女性だったが、今は別の意味でも逞しくなった愛しの妻にランバートは苦笑いするしかない。



「このパンケーキおいしいでしゅねぇ~」



「このクリームがたまりまちぇんね~」



「はちみちゅかけてもおいちーよ!」



食事を吹き出しそうになる大人達。メイドや給仕達も微笑ましくおちび達を見ている。



カイデルとビビアンはこの温かい雰囲気に、込み上げてくるものがある。チロが誘拐されていた時は、空気は重くて食事も味気なく、誰1人と笑うものがいない屋敷だった。だが今は…



「かーしゃん!あかちゃんのちゃめにちゃんとたべるんでしゅよ!」



「フフ…はいはい」



口の周りにクリームを付けてニコニコ嬉しそうに笑うチロ。チロの口を拭きながら笑うエチカとその光景を見て笑うランバートとカイデル、ビビアン。



リクやエドワードといった同世代の友達も出来て、少しづつ成長している愛しい我が子。



「エチカ、午後から医者に診てもらう事になったからね」



「ええ、分かったわ」



「たにょしみだねぇ~!」



「チロはにーにになるにょ?」リクが聞く



「うん!」



「「よかったねぇ~」」



染々と頷くおちび達に爆笑する一同。ほのぼのした朝食が終わり、いよいよ皆が帰る時間になった。カイデルとビビアンはチロの住む孤児院に挨拶に行く事になり、結局皆で大移動だするだけだ。



「おちび達ー!準備出来たー?」



「「「は~い!」」」



エチカの後ろにちょこんと並ぶおちび達は馬車に乗り込む。エチカは医者に診てもらう為、後から合流する事になっている。大人達に落ちないように支えられて、セバスチャンやメイド達に手を振るおちび達は名残惜しそうに帰っていった。



そしてエチカは医者に診てもらうと、チロの言う通り妊娠している事が判明したのだった。










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