第62話 王様とおちび達

「こんなにも生きた心地がしないのは始めてだ…」



食事が終わり、全然食欲が湧かなかったカイデルと夫人のビビアン。顔面蒼白のまま、自身の可愛い孫を見る。



「きたにゃ!魔王め~!」



チロがおもちゃの剣を構えると、同じようにリクとエドワードも剣を構える。



「いくじょ!おりぇにちゅじゅけーーー!」



「「おぉーーーー!」」



おちび達の目指す先には魔王になった国王が仁王立ちしていた。



「かかってこい!勇者AとBとC!」



そのジェラルドの発言に笑ってしまう一同。おちび達の攻撃を軽々とかわすとエドワードを捕まえてこちょこちょ攻撃をする。



「きゃははは!」笑うエドワード



「ちー!いまたしゅけるよー!いくじょ、びー!」



「あい!」



チロの掛け声に頷くリク。



「近付くとこいつを食べてしまうぞ!」ジェラルドが悪人顔で言う



「うわぁーー!たべりゅの?じょんしゃん!」変な顔をするチロ



「ぼきゅ!おいちくにゃい!うわーーん!」



エドワードは怖くて泣き出してしまう。



「もう!兄上!」



見ていたエチカが怒りながらやって来た。エドワードを抱っこしてジェラルドを説教している。



チロとリクは心配そうにエドワードを励ましている。



「じょんしゃん!ねーねにいうかりゃね!」



「おい、チロ!それだけはご勘弁を!」



「はんせぇいちてましゅか!」怒るチロ



「はい!もう言いません!」反省するジェラルド



「しょうがにゃいにゃ~!」



チロはジェラルドをぽんぽんする。その光景に開いた口が塞がらないカイデルとビビアン。



「おい、ランバート…本当にうちの孫は大丈夫なのか!」



「えぇ…ですがあそこまでとは…」苦笑いするランバート



自分より国王に懐いている息子を見ていると、父として複雑な心境になるランバート。



「じょんしゃん!おかねくだしゃい!」



チロのこの発言に、飲んでいた紅茶を吹き出すカイデルとランバート。



「何に使うんだ?」



「ねーねのおたんじょーびなにょ!」



「いつものを買いに行くか!」



「うん!」嬉しそうに頷くチロ



「でもチロ…とーしゃんといきたいにょ!」



それを聞いたランバートは嬉しくて自然と立ち上がり、チロに抱きつく。それを見ていたエチカは涙ぐみ、ジェラルドは微笑む。



「チロ…行きましょう!私がお金を出すから大丈夫です!」



「とーしゃんとおかいもにょ~!うれち~!」



そう言って小躍りするチロだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る