第29話 閑話 チロと公爵夫妻


「こんにちはーとーしゃん!」



私の最愛の息子のお出迎えは最高に嬉しいのですが、息子はリアルな軍服を着て敬礼している。隣には何故かルシルド侯爵家の嫡男エドワードとこの子は確かヘルマー公爵の子だったよな?いつの間に仲良くなったんだ。



「チロ、その格好いい服だね」



すると目がキラキラ輝くチロ、可愛いな!



「あにょね、かーしゃんがちゅくってくれたの~!」



やはりエチカの仕業だ。このまま軍に入ると言ったらどうしたら良いんだ。エチカやお義父上は大喜びだろう。まぁ私もこの子には好きな事をやらせてあげたい。



「チロのとーしゃんでしゅよ!」2人に自己紹介してくれる



「はじめまちて!エドワードのにゃまえはエドワードでしゅ!」



見た目は母親譲りなのに中身は父親譲りなのか…。



「ぼきゅはリクでしゅ。」



落ち着いた感じはヘルマー公爵にそっくりだ。



「私はチロの父親のランバートです。」



チロは嬉しそうに私に抱きつく。



「あら、ランバート!」



タイミング良く現れたのは最愛の妻エチカ。するとチロ達が綺麗に並び敬礼する。



「よし!挨拶!」



「「「おはよーごじゃいましゅ!たいちょー!」」」



「準備運動を自由に!」



「「「あい!」」」



するとおちび3人はそれぞれ独特の運動をしている。私は笑いを堪えるのに必死だ。エチカも必死に堪えている。



「よし止め!では好きなことと嫌いなことを言いなさい!」



「チロはたべりゅことがちゅきでしゅ!かいだんがきりゃいでしゅ!」



「ぼきゅはともだちとあしょぶことがしゅきでしゅ!べんきょーがきりゃいでしゅ!」



「ぼきゅはえほんがしゅきでしゅ。きりゃいなのはひとりでごはんたべりゅこと」



エチカはメモをしている。



「たいちょー!はりゃくてきをたおちます!」チロが言う



「そうだな!今日の敵は強いぞ!心してかかれ!」



「てきはだれでしゅか?」エドワードが聞く



エチカはある人を指差す。すると3人が震えてエチカの後ろに隠れる。



「あれはドリャゴンよりちゅよいでしゅ!」チロが震える。



「たべられりゅ…ぼくはおいちくないぞ!」エドワードも震える。



「ぼきゅはいない!」リクも震える。



「あんた達失礼ね!本当に喰うわよ!」



アンリが3人を捕まえようとするがちょこまかと逃げている。ルルとエチカは爆笑している。



良く笑う妻と息子に涙が込み上げる。数ヵ月前まではこんな幸せが訪れるとは思ってもいなかった。息子を酷い目に合わせたメイドの女を捕まえて地獄を見せたが、息子の辛い日々は消せない。なのでその分幸せを増やしていこう。



その息子は今満面の笑みでこちらに向かってくる。














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