第9話 奥さんは何者ですか?

「改めましてランバートの妻でエチカと申します。貴女がルルちゃんね?」



「あ、はい。あの…もう立って下さい!」



エチカさんはまだ平伏したまま自己紹介している。



「あらごめんなさい、オホホ!」



「いえ…ねぇチロ、この人に挨拶して?」



チロは頷くとエチカさんの側まで行くと恥ずかしそうに挨拶する。



「チロはチロっていいましゅ!しゃんしゃいです!」



「…そう…グスッ…チロくん。挨拶出来ておりこうさんね。」



「どーちたの?どこかいたいのー?」



急に泣き出したエチカさんをチロが慰める。チロはお得意(?)の変顔をしてエチカさんを笑わせる事に成功した。その光景を微笑ましく見ていたランバート先生に促されて豪華な広間に案内される。



私とチロが一緒に座り、テーブルを挟んでランバート先生とエチカさんが座る。チロは広く豪華な部屋に興奮してキョロキョロしている。



「ランバート先生…チロに本当の事を話すんですよね?」



「そのつもりだが、どう話していいか迷っていてね」



「なら私が話していいですか?」




ランバート先生達が困惑しているのをよそに私はチロに話始める。



「ねぇチロ、チロのお母さん覚えてる?」



「うん、チロにいたいことちた!きらい!」チロが怒る。



それを聞いて泣きそうになるエチカさんを抱きしめるランバート先生。先生も辛そうな顔をしている。



「チロに痛いことしたお母さんはチロの本当のお母さんじゃなかったんだ。」



「チロのおかーしゃんじゃないの?」



「そう。チロの本当のお母さんはね、チロをずっと探していたの。」



「……チロのほんとうのおかーしゃん…やちゃちい?」



「うん。優しくてチロが大好きなんだって!」



その光景を見てとうとう泣き出してしまうエチカさんとランバート先生。



「チロは会いたい?」



チロは黙って頷くとルルに抱きついた。



「チロ、今目の前にいるよ」



チロはランバート先生やエチカさんをみる。2人は必死に笑顔になろうとするが、涙が止まらない。



「チロのお母さんとお父さんだよ、また挨拶して?」



チロは恐る恐る2人に近付いていく。



「チロのおかーしゃんとおとーしゃんなの?」



「そうよ…お母さんよ!」



「父さんだ!」



2人はチロを抱きしめる。チロは困惑しているが嫌がってはいない。その光景を嬉しい反面寂しい気持ちで見ているルル。



暫くして落ち着くと気まずい沈黙が続く。チロはエチカさんが抱っこしている。



「あの…チロは何か好きな遊びはあるの?」エチカさんがチロに聞く。



「チロは兵士ごっこが好きー!」



「チロは兵士が好きなの?」何故か目が輝くエチカさん



「うん!」



エチカさんはチロをランバート先生に託して部屋を出ていった。



「どうしたんですか?エチカさん」



「今から見る事になるが驚かないでくれ…」ランバート先生は苦笑いしている。



するとドアが勢い良く開き、現れたのは軍服のエチカさんだった。しかも普通の軍服ではなく多分最も位が高い…



「レッドデビルだ…」



【赤い悪魔】と戦場で恐れられている軍総司令官。勉強会で習った人物が目の前にいるよ!しかも女性(エチカ)だったなんて!



「ルルちゃん、よく知ってるわね!私は軍総司令官のエチカ・オールドウィンよ!」剣を掲げ自分に酔うエチカさん。



人格変わってない?だがチロはキラキラした目でエチカさんを見ている。私は自然とランバート先生を見る。



「それでも私は妻を愛している」



「何も言ってませんが?」




強烈なキャラ登場です!








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