第8話 ランバート先生の家に行こう!

「チロ~準備出来た?」



ルルはトイレに入っているチロに声をかける。




「まだでにゃいからまっててーねーね!」




いやそっちではなく荷物の事を言ったんだけど、まぁいっか。




今日はランバート先生の家に行く日だ。憂鬱な気持ちのまま私はチロの鞄の中を確認している。何故か石ころが一杯入っている。



「何でだ?重っ!」石を鞄からだす。



「ねーねでたよー!」チロが叫んでる。



「フフっ報告はいいよ!」



チロを待っているとアンリがやってきてルルの隣に座る。



「大丈夫?あんたランバート先生の家に招待されてから元気ないからさ…やっぱりチロって…何でもない!楽しんできな!」



「アンリ、ありがとう…」



「ねーねおまたしぇー!」チロが戻ってきた。



暫く3人で話していると、院長先生が呼びにきた。玄関に行くとランバート先生が待っていた。



「やぁ!じゃあ行こうか!」



「よろしくお願いします」私は頭を下げる。



「ちます!」チロも私を見て真似する。



アンリと別れランバート先生に付いていく。そこには貴族馬車が待っていた。しかもかなり豪華な馬車だ、ランバート先生って上位貴族かな。



「うわーー!ねーねしゅごいね!お馬しゃん!」



「そっちかよ!」



私達のやり取りを微笑ましく見守るランバート先生。馬車に乗り込むと出発する。私は町の景色を眺めながら気持ちの整理をする。チロは最初は興奮して騒いでいたが、馬車の揺れが揺りかごの効果があったのか眠ってしまった。



暫くの沈黙が続き、ランバート先生が口を開く。



「ヨシュア…チロと仲良くしてくれてありがとう、本当の姉弟みたいだよ」



「チロはずっと私の弟です!離れ離れになっても弟です!」



「あぁそうだね」



気まずい空気の中、馬車が止まる。そこには広大な敷地にこれまた豪華なお屋敷があり私は唖然とする。



馬車の入口が開き執事のような人が頭を下げる。その後ろには何十人ものメイドが綺麗に並んでいた。



「お帰りなさいませ旦那様」



「「「「お帰りなさいませ旦那様」」」」



私はチロを起こして馬車を降りる。自然と皆の視線がチロにいく。執事であろうお爺さんはチロを見て目に涙を浮かべている。



「うわーー!ちゅごいね!大きいおうちー!」



「じゃあ中に入ろうか」



「はい」「あい!」



執事さんの後をランバート先生と一緒に歩いていく。引くぐらい豪華な花瓶や絵画などが飾られた廊下を歩く。



「チロ兵士!絶対に触ったら駄目であります!」



「あい!ちゃわりましぇん!」手を後ろにやるチロ



「フフっ大丈夫ですよ」思わず笑うランバート先生



その流れで私はランバート先生に聞きたかった事を聞く。



「ランバート先生は上位貴族ですか?」



「私はランバート・オールドウィン、一応公爵でこの国の宰相を勤めています。」



上位貴族であろうとは思っていたがまさかの公爵でしかも宰相だとは!

驚いていると後ろが騒がしくなり、階段を物凄い勢いで降りてくる人とそれを止めるメイドとの攻防が繰り広げられている。



「チロ兵士!あれは戦争だ!止めてこい!」



「あい、だんちょー!」



チロは走り出し攻防中の人達の前へいく。



「やーめーなーしゃーい!」チロが叫ぶ。



すると階段を物凄い勢いで降りてきた美女。美しい金髪に淡いグリーンの瞳はチロと一緒だ。うん、チロの本当のお母さんだね。チロはお母さん似なんだね。



「おまえをちゅかまえます!」チロは美女を指差す。



美女は目に涙を浮かべて震えている。ランバート先生が急いでかけより抱きしめる。



「あなた…あの子ヨシュアよね?」



「あぁ…ヨシュアだ」



美女は涙を拭くとチロの元に歩いていく。



「申し訳ありません!」チロに平伏す美女



「ゆるちゅ!」



えぇーーー!ノリがいいな!

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