第2話 暇ですか?
最後のスープはジョンさんにキレ気味に飲ませた。チロを先生に預け勉強会に行く。何故かジョンさんも付いてくる。
「今日もジョンさんが先生なの?」
「そうだぞ!よろしくな!」
確かに教え方は上手い。
「今日はあの豚の授業もあるよ!」アンリが嫌な顔をする。
「豚?」ジョンが反応する。
「聞いてジョンさん!そいつね私達を馬鹿にするのよ!孤児で勉強できるのは国王陛下のお陰だとか、孤児は勉強なんて意味ないとか!」
「ほぅ」ジョンさんの目が一瞬怖く光った。何かやるな…
「特に優秀なルルは標的にされて嫌みばかり言ってくるの!」
「よし!やるか!(殺るか)」副音声が聞こえる!
教室に着くとジョンさんが当たり前に私の隣に座る。
「授業まで待機していてよ。」呆れてジョンさんを追い出す。
暫くすると遅刻して入ってくる巨体。部屋には汗の嫌な匂いが充満する。遅刻を謝りもせずいきなり黒板に書き始める。
「ピッグ先生」
「…なんだ」
「遅刻してきたら謝るのが普通じゃないですか?この前遅刻した子を廊下に立たせましたよね?」
ルルは毅然と立ち向かう。ピッグはルルを睨み付け舌打ちする。
「俺に廊下に立っていろというのか?孤児が生意気言うなよ!こっちはお前らに教えてやってんだ!」
そう言うとチョークをルルめがけて投げつける。ルルは目を閉じたが一向に当たる気配がなく、周りがざわついている。恐る恐る目を開けると目の前にジョンさんが立っていて手には投げられたチョークを握っているが直ぐ粉々になる。
「誰だお前!」デブ…ピッグ先生が怒鳴り付ける。
「あぁ?お前こそこんな事をして只で済むと思うなよ?」
「こんなガキ共誰が悲しむ?親はいな…ブフォ
瞬間デブ…ピッグ先生が吹っ飛んで壁に食い込んだ。子供達は羨望の眼差しでジョンさんを見ている。いや、死んでないよね?
教室がぐちゃぐちゃになったので皆で庭で遊んでいる。そんな中ジョンさんは私の隣に座ると真剣な顔になり頭を下げる。
「ごめんな」
「…何が?」
「あんな豚が教師になっていたとは…くそ!」
「気にしてないけど…今度は豚じゃない人がいいな、臭いから」
「プッ確かに酷い臭いだったな!」ジョンさんはルルの頭を撫でる。
そして2人は立ち上がると皆の元に行く。
いつの間にかピッグ先生がいなくなっていて、短時間で教室も綺麗になっていた。子供達はまたジョンさんを羨望の眼差しで見る。いやさすがに無理だろ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これが王からの指示です」
机に向かう1人の男が手を止め、渡された紙を見る。
「また孤児院にいるのかって言いたいが今回はいて正解だな。」
「今は地下牢に閉じ込めてますが巨体で大変でしたよ」
「そのままにしておけ。王が帰ったら自ら尋問するそうだ」
「まぁ…終わったなあの豚」
それからピッグを見たものは誰もいないとさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます