第5話:終わり
光輝が帰って来たので、私たちは久しぶりに4人で遊ぶことになった。
まずはカフェに行ってお互いの近況報告をしてから、をしたりカラオケに行ったりとたくさん遊んだ。
私はちゃんと自然に振る舞えるか心配だったけど、あのときのことはなかったかのように振る舞ってくる光輝に安心をして、後半は心から楽しむことができた。
(何だ。私が心配しすぎただけだったんだ)
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そして光輝との再会から1ヶ月後、4人で何度目かの遊びをしていたら奏の携帯がなった。
「ゆーくん。部活でトラブルだってさ! なんか私とゆーくんに来て欲しいみたいだよ?」
「マジかよ。せっかくみんなで遊んでたのにな。まぁ、仕方がないか。悪りぃ、そういうことだから今日はここで解散にさせてくれ」
私と光輝が了承すると、優李と奏は学校へ向かってしまった。
私たちは、「じゃあ帰ろうか」って言って電車に乗り、花咲公園の前を通り過ぎようとすると。
「ここ懐かしいな。もし時間がまだ大丈夫ならちょっと話して行かないか?」
光輝が私のことを誘って来た。私はその言葉を聞いて一瞬心臓が跳ね上がってしまった。だって、ここはあのとき光輝に告白をされて、一度だけならと同意してしまった場所だったからだ。
けど、光輝は過去のことを引き摺っていないように思える。
私はちょっとだけ警戒をしたが、これからも光輝と友人として付き合くなら無理に断るのも悪い気がしたので、「ちょっとだけならいいよ」って答えた。
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まだまだ外で話をするには寒いので、私たちはホットの飲み物を買って暖まりながら話をすることにした。話はこの花咲公園で遊んだ思い出が中心で、私も懐かしくて話が盛り上がっていった。
再世は小学生の頃の話だったが、徐々に中学生の頃の話になっていき、そしてついにあのときの話題になった。
「羽月。お前はあのときのことを後悔してるか? 俺は後悔なんて一度もしたことがない。そして、お前のことを一度たりとも忘れたことはなかった」
「光輝く……ん!? んんん…………!?」
私が名前を呼びながら顔を見ようとすると、急に光輝がキスをして来た。私は抵抗をするが、力強い光輝に抱きしめられて離れることができなかった。そして光輝の行為は徐々にエスカレートしていく。
「ちょ……ちょっと! 光輝くん、やめ……やめてよ………こんなことしないで」
私は泣きながら光輝に訴えた。だけど光輝はやめてくれない。それどころか今の状況を楽しんでいるようだった。
「んん……もうやめて………本当にやめてください………」
私がそういうと、光輝は私の顔を覗き見て、「イヤって言ってるけど、顔を紅潮させてめちゃくちゃ蕩けた顔してるじゃん。羽月も本当は興奮してるんだろ?」と言ってきた。
「そんなこと……そんなことないわよ」
私は光輝にそう伝えるが、本当は身体が疼いて興奮してしまっている。心では『ダメ』『イヤだ』『やめて』って叫んでるのに、私の身体が言うことを聞いてくれない。その証拠に、光輝を跳ね除けようとしてる手には力がこもっていなかった。
本当は光輝と再会してから、会う度に身体が熱ってしまっていたんだ。
そう。私は中3のあの時にエッチの快楽を、今も忘れられないでいるのだ。
そしてその日に2度目の裏切りをしてしまった。
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それから私と光輝の関係は続いていった。
もう何回優李のことを裏切ったのか分からない。
最初のうちは、『バレてしまったらどうしよう』『優李はいつも私の考えていることを見抜いてくるから、ボロが出ちゃったらどうしよう』ってビクビクしてた。
だけど、何回光輝とエッチをしても、優李は全然私の変化に気付かなかった。すると光輝とのエッチにドンドンと積極的になっていく自分がいた。
光輝とのエッチはいつも刺激的で、私は病みつきになってしまった。
優李ともエッチをしていたし、もちろん気持ち良かったんだけど、光輝としているエッチの方が凄く気持ちよかった。だから、徐々に優李との回数を減らして、その分光輝とエッチをするようになっていった。
優李と一緒にいると、いつも心がポカポカして温かい幸せな気持ちになったけど、光輝とは刺激的で頭が狂ってしまうような激しい快楽が襲ってくる。
そしてその快楽を私は手放すことがどうしてもできなかったのだ。
それでも私は本当に優李のことを愛していた。愛していると思っていた。だって、結婚して本当の家族になりたいと思えるのは、優李ただ一人なのだから。
だから優李とのデートは、心から楽しんでいた。優李にも楽しんでもらいたいし、優李の笑顔を見れるだけで幸せな気持ちになった。
私は心は優李、身体は光輝で満たす関係を気付いたら半年以上続けていた。
そのときの私は完全に心が麻痺してしまっていたんだと思う。光輝とはホテルやカラオケ、ネットカフェなどでするだけじゃなく、最終的には優李の部屋でエッチをしてしまったのだ。
優李の部屋でしたときのエッチは、今までの中で一番気持ちが良かった。優李の部屋で優李の匂いを感じながら、全然違う人に抱かれている背徳感が私をそうせたのかは分からない。だけど、あんなにも乱れてしまったのは自分でも吃驚した。
もし、私の部屋で光輝とエッチしていたら、同じように乱れていたのだろうか? 興味はあったが、私の家に光輝を上げることはないだろう。もし親や近所の方に見つかったら、優李にこの関係がバレてしまうかもしれない。そんなリスクを自分から負う必要はなかった。
なので本当は優李の部屋でエッチするつもりもなかった。さすがに優李にバレるリスクが高すぎるからだ。なので、優李の家から出るときに、光輝には優李の部屋ではもうしないようにしようと伝えた。だけど、その時には何もかもがもう遅かったんだ。
優李の部屋でエッチした一週間後、優李の試合の後に光輝と一緒にラブホから出て来たところを優李に声を掛けられてしまった。そして、優李の口からはっきりと拒絶されてしまったのだ。
優李に拒絶されてしまった私にはもう光輝しかいなかった。優李に拒絶されたときに、ラブホなんて本当は行きたくなかった。優李が許してくれるまでその場で謝罪し続けたかった。
だけど、それでももし許してくれなかったら……。次は光輝にも見捨てられてしまう。それが今は何よりも怖かった。だから光輝に引っ張られるまま入っていった。
その時のエッチは今までに比べて全然気持ちよくなくて驚いてしまったが、光輝は狂気的に笑い今までで一番興奮していた。そんな光輝を見た私は、光輝にとって自分はまだ必要な存在なんだと感じた。
私と優李の17年間の関係は終わってしまった。だけど、最後にもう一度話をしたい。許してくれなくてもいいから謝罪をしたかった。
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