取っておきの㊙大作戦っ!!
「はぁっ……はぁっ、たしゅけて、あき〜」
カラオケでの集まりがあった次の月曜日。
教室に入ってくるなり俺の机につっ伏す優雨に、どうしたんだ?と聞く前にその“原因”は現れる。
「天使くんーーーーーー」
「キャーーーー」
「かわいいっ!!かっこいい!サイコー!!!」
うちのクラスの女子や他クラスの女子たち。
カラオケが終わったあとに人だかりができていたことから若干予測はしていたけど、やっぱり的中したみたいだ。
「ちょっと……冷静に……分析しないで。」
ジト目で優雨が睨むと周りの女子たちが黄色い悲鳴をあげる。
「ちょっと、優雨くんが可哀想……」
と少し眉を下げる沢野さん。
恐らく歌が上手いことが広まり、騒ぎになったのだろう。
元々優雨はイケメンだし、マークしていた子もいたみたいだ。
「はよっ!」
大きな声を出して挨拶をする潤に、少し人だかりが別れていく。
「どした?優雨」
真っ先にこちらまで来て何かを察した様子。
「その……」
まさかモテているなんて女子の前で言える訳もなく、口ごもると察した潤が何やらいいことを閃いたのだろう。
ちょいちょいっと俺をよんだ後、誰にも聞かれないように耳に手を添えてこんなことを言う。
「もにょにょにょにょにょもにょもももにょにょにょにょもにょもにょも?」
「にょー!もにょにょ!もにょ、もにょにょーにょ?」
「もにょーにょーにょ!もにょにょもにょにょにょ!」
聞いた途端自分の口の端がつり上がっていくのを感じた。
ふふふっ、いいな。それ!
「おお、優雨。」
「むー?」
自分を無視して話されたことで若干不満を覚えている様子。
「今日俺の家で息抜きに3人で遊ばないか?」
「うん……っ!」
ただただ純粋に瞳を煌めかせて機嫌を直す優雨にかなり申し訳なく思うけど、これは仕方ないっ!とにやける口を抑える。
「どしたの……?」
山野と俺の口がどうしてもにやけてしまうからだろうか。
けど、絶対いいよなぁ……これって。
うん、いい。
何やら新境地を開きそうな気もするが、試してみる価値はあるだろう。
「なんか……あやしいなぁ…」
あれを。
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