天使(?)の歌声
「〜〜♪」
……
歌が終わったあと、誰も一言も発さないまま時間がただただ過ぎていく。
しばらくした後、ようやく潤が声を出す。
「やっぱ、優雨はすげー上手いな。」
それと同時にカラオケ部屋なのに防音できないような音で、割れんばかりの拍手が響いた。
「すっごーーーーーい!沙苗くん!」
と拍手する諏訪さんの横で、口元に手を当てて驚く沢野さん。
「おぉ……」
感嘆の眼差しを向ける男子。
「えへへ……ありがと。」
はにかむ優雨にクラスのみんなの視線は釘付けになっている。
「もう、天使の歌声じゃんっ!!!!!」
諏訪さんが興奮気味にそう言うと、女子たちが
「ねー、沙苗くん。天使くんって呼んでもいい?」
「え……」
悪ノリしだした女子に、困ったように眉を寄せる優雨。
「いいじゃん〜、ほんっとに透き通った歌声でめちゃくちゃ感動したんだから!ほんとにうますぎっ、プロ目指せるんじゃ!」
女子たちが口々に褒め称えると諦めたのか優雨はOKと答えた。
男子たちからも、からかいと羨望をこめて天使くんと言われまくった優雨は恥ずかしがって俺の服の端をつまんで涙目で見つめてくるのだった。
その仕草さえも可愛すぎるということで、天使のあだ名が校内に広がるのはもはや時間の問題となったけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます