ばれた……

今日は生徒会が休み。

小鳥遊学園に入学して以来のお休みだ。

何をしようかなと考えていたけれど、クラスに入った途端沢山の生徒に取り囲まれ、思考は強制的に中断させられる。




「あのさ、紺野。クラス全員でカラオケ行かないか?」

そう声をかけてくれたのは同じクラスの山野。

彼は俺の後ろの席で入学当初からよく話しかけてくれる1人の友人?のはずだ。


特に予定も決まらなかったので頷いてみせると「やった!」

クラス中からの歓声が聞こえる。



「どうした?」


疑問に思って訪ねると山野から返答が。


「他の人みんなOKだったから。前々からクラスみんなで遊びたいなって話してたんだけどさ、如月と紺野2人とも生徒会で忙しそうだったからタイミング見計らってたんだ。」



「なるほどね、みんな気ぃ使ってくれてありがとな。」


気を使われていたことに驚きつつも、1人しかいない友人が増える良い機会になりそうだなぁと軽く顔をほころばせて了承。

早くも今日の放課後が待ち遠しくなってきた。




放課後を今か今かと待ったあと、

山野が

「じゃ、駅前のカラオケ店に集合な!」

と号令をかける。

この1ヶ月で分かったけど、山野は学級委員長ではないがクラスのリーダー的存在らしい。


俺よりよっぽど副会長に向いてると思ったことは幾度もある。

いっそ変わってくんないかなぁ……。







クラスの全員で玄関前に集まったあと解散。

かなり下校する生徒の邪魔になってるかもだけど、今日くらいは甘く見てほしい。


と、いつもとは違って家の方向へ向かおうとすると後ろから明るい声で呼び止めが入る。




「こーんーのくんっ」

「どうしたんだ?如月」

「家、、こっちなんだね。」


そういってにこーっと笑った如月が指差すのは市民ホールの方向。

あ、しくじった!

そう思い言い訳を考える。

あれから生徒会活動がある日は如月と帰っていた。

といっても1ヶ月も休みがなかったから毎日だけど。


とんだブラック企業だなぁ……。


如月から無理を言うことは無かったけど、暗がりが怖いのに、無理をさせる訳には行かずそっち方面から帰っていた。

そんなに遠い訳でもないし、いいトレーニングにもなる。



「いや、その……寄るところがあってな」

気を使わせまいと自分でも面白くなるほどしどろもどろに言い訳をする。

「今日はクラスで遊ぶでしょ?」

「そ、そうだけど、書店に用事が……」

「用事あったんじゃん、無理してたならいいよ?」



そう言ってくれる如月は恐ろしくなるほどにこやかに、どこまでも優しい。

だからこそ、そのにこやかさに耐えきれなくなり、ついホントのことを明かしてしまう。


「ごめん、如月。今日は用事別にない。」

「じゃあ……」

「ごめん、けど如月が心配で。」

「……けど」

「ううん、如月がいやならもうしない。けど遠慮してるなら、いいトレーニングになると思ってたし気にすんなよ?第1如月みたいな可愛い女の子が夜道一人で歩いてる方が心配だから。」

「っ……!え、」

「だめ、か?」

「うぅー、」



見るまに赤くなる如月。

赤くなるのが得意なのか。


特技⋮赤くなる

ふふっ、面白いな。


けどそうじゃなかったら最近よく赤くなってるし、風邪ひいてないか心配になる。如月のことだから体調管理も完璧だろうけど。


「その、無理してないなら……うれしい、かな。いつも送ってくれてありがとね。」


「ううん、全然。いっつも世話になりっぱなしだしこれで返せるならめちゃくちゃ安いもんだよ。これからも一緒に帰っていいか?如月と帰るの楽しいし。」


「っ……なんでそんなこと言うの」

「ん?」

声が小さすぎて聞こえなかったから聞き返したら、なんでもない!と言われてしまった。


「とにかく……えー、んー、迷惑かけない範囲ならおねがい……します。」


その答えに満面の笑みで当然の答えをこう返す。


「もちろん!こっちこそよろしくな。」


そういって家まで急いで帰ったけど、振り向いた時に見えた如月の耳がほんのり朱に染っていた。





♪。.:*・゜・゜.☆.。.:*・♪。.:*・゜.☆.。.:

更新2日目です!

本日は2話投稿させて頂きましたm(❁_ _)m

こんなにも多くの方々に読んでいただき大変嬉しいです!

編集などあるかもですが大幅に変えることはございませんのでご理解下さい……。


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