第4話 これから
原作通りの展開のお陰で奴隷から解放された俺だがこれからの方針で頭を悩ましていた。
取り敢えずこのこの場所、名前をドニ採掘場というのだがここで入手してお来なければいけないアイテムを回収する事にした。
実はこの世界がBSFの世界だと分かった段階で絶対に回収する事を決めていた物があった。
この世界が現実になった以上ステータスなどが見れるメニュー画面が開けないのは当然なのだがゲーム時代もあるアイテムをゲットしないと開けない鬼仕様だったのだ。
コードクリスタル呼ばれるそれはBSFの設定によると古代のアーティファクトらしく個人をスキャンしそのステータス等を表示できるほか俗にいうアイテムボックス機能が付いてる便利アイテムという事らしい。
ゲーム時代はそんなもん一々アイテムにすんな!と思っていたが現実になった今はその設定のお陰で助かりそうだ。
コードクリスタルはこのドニ採掘場のあるポイントで手に入るのだが今までは場所が分かっていても奴隷だった為取りに行く事が不可能だった。だが解放された今取りに行かない理由はない。
という事で助けてくれた美女、名前はゲーム時代と同じカルヴィナと横に居たこのシナリオの主人公ラグナス君、その他の奴隷達には先に行ってもらい俺は今コードクリスタルの採掘ポイントへとやって来ていた。
どうやら枷には身体能力など含めたいろいろな力を封じ込める力があったらしく以前に比べればスペックアップしていたと思っていたこの身体だが本来の力ならその二倍は動ける力が備わっていたらしい。
コードクリスタルの採掘ポイントを掘っているとあっという間にそれらしきものが出てきた。
見た目は豪勢な金で彩られた宝箱だ。
それを掘り出し中を確認する。
そこにはゲーム内で表示されていたアイコンと同じ形をしたコードクリスタルが入っていた。
お目当ての物も回収出来た事だしさっさと撤収する事にした俺は大急ぎでその場を後にした。
ゲームではこの採掘場を管理しているヴァンターグ帝国から追手が来るのに半日程かかった描写があった筈だが急いだのに越したことはない。
採掘場を出た後俺は取りあえずラグナスとカルヴィナが向かったであろう村を目指した。
道中考えるのは先程同様これからの事だ。
BSF時代の話をするとぶっちゃけ俺の存在は凄く曖昧になるから身の振り方に凄く迷う。
憶測にすぎないが俺の今の立場はBSFのシナリオでいうプレイヤーキャラに当たると推察している。
BSFではシナリオ選択後PCをクリエイトし、そのキャラを操作していくのだが基本ストーリーには関わらず主人公と思われるNPCの旅に同行しその活躍を側目で見るだけなのだ。
BSFはオープンワールドのアクションRPGなのだが基本メインストーリーを進める以外は自由に冒険し新しいステージを開放したくなったり続きのストーリーが見たくならない限り主人公NPCといえども基本放置が当たり前だった。
その為ストーリーにおけるPCの存在は希薄でありストーリーという観点を覗けば逆にPCにとってもシナリオは数あるゲーム的楽しみの一つに過ぎなかった。
その為この先ラグナス達に付いて行けば色々な面倒事に巻き込まれる事を知っている俺としては安直に付いて行くと言う選択をせず気ままにこの大好きなBSFの世界を自分なりに謳歌するのもありなんじゃないかと考えた。
だがシナリオを無視し俺がこの世界を満喫しようとした場合色々な問題が浮上する。
まず一つに戦力の問題だ。
飽くまでBSF時代の話だがPCキャラの強さは絶大だった。
勿論プレイスタイルにもよるが基本どのNPCよりも高いステータスをもっており成長率も無限だった為やればやるほど強くなる。
そのため戦闘ではNPCキャラはお助けキャラ的な位置におりストーリーとはその立場が入れ替わっていたと言っても過言ではない程だ。
しかし、PCキャラが強くできるという事はそれだけ敵の調整もされていると言う事でありかなり強く設定されていた。
しかもシナリオ進行中のPCの行動によっては敵が強化されるイベントなどもありご丁寧にそれ用の背景ストーリーが設定されている程作り込まれていたのだ。
これ等の事を考えるとPCポジションだと思われる俺が旅から外れた場合ラグナス達がゲームオーバーになる確率が非常に高い事が考えられる。
そして彼等がゲームオーバーになった場合ストーリーをしる俺としては是非ハッピーエンドまで行ってもらいたいと言う気持ちとゲームオーバーになった場合俺の知るシナリオが崩壊し俺のこの世界におけるアドバンテージが一つ消えてしまうと言う危惧があった。
そうこう考えている内にラグナス達がいると思われる村の入口が見えて来た。
考えをまとめた結果俺は腹を括りBSFのPCと同様に彼等と共に行く事を決めた。
面倒事に巻き込まれるのは嫌だがそれ以上にシナリオが壊れてしまう事の方が怖い。
それになにより決定的だったのは大好きなゲームの名シーンをこの目で見れるかもしれないというこのオタク心だったのかもしれないな。
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