第2話 ゲームの知識
この世界がBSFの世界だと確信した俺はまずここがいつの時代か確認する事にした。
BSFを長年やり込んだ俺は世界設定なんかの細かい部分まで把握していた為この絶望的状況でも活路を見出すことが出来るのだ。
さっきまで絶望していたのは何処の誰だって?しらんな。
とにかく俺は現状出来る手段として星が出る時間まで作業を延長する事にした。
ここでの作業は前と変わらず日が昇る少し前から始まり沈む前に牢屋の様な部屋に戻されるのだが俺は自分が他の奴隷より作業ができる事をアピールし監視員にもう少し俺の働きぶりを見てほしいとせがんだ。
監視員は少し渋い顔をしたがマイナスな事がないと判断すると少しの延長を許可してくれた。
そして日が落ちるギリギリのタイミングで俺は空を見上げる。
まだ空は薄っすら明るいがチラチラと星が見えてきていた。
俺はその中にお目当ての星を発見し内心歓喜した。
この世界には凶星という夜になると赤く輝く星が存在しておりそれが百年に一度神星と呼ばれる青き星に近づくのだがそれが正に今と言うのを確認できたのだ。
BSFにはシナリオが多数用意されていたのだがその中の一番初期のシナリオの開始がこの凶星と神星が近づく時期であり尚且つこのシナリオの主人公NPCキャラがこの奴隷施設に収容されている時期でもあるのだ。
俺自身の目では主人公NPCらしい人物は確認できていないが居る事を願うしかない。
この世界がどれだけゲーム内容と一致しているのか定かではないがゲームのシナリオ通りに進むのなら希望はある。
俺は時が来るのを待つことにした。
俺がこの世界に来て恐らく二月程、新たな作業場へ来てから約二週間が経過した頃の出来事だった。
時刻は昼を過ぎて少ししたと言った時間、俺がいつも通りつるはしを使い黙々と作業をしていた時にそれは起きた。
突如轟音が鳴り響き監視員と思われる者達から聞こえる怒号。
異変に気付いた俺付きの監視員も爆音のする方へと俺を鎖で縛り引きづりながら向かう。
現場についてみれば辺りに倒れる数十人の監視員とその中央に監視員を倒したと思われる男女の奴隷二人が立って居た。
すぐさま俺に付いていた監視員は腰から武器を出しその奴隷たちを捕まえようとしたが目にも止まらぬ動きで女の奴隷に掌底を腹に叩きこまれ泡を吹きながら倒れた。
監視員を倒した女は俺に近づきこう言った。
「貴方も奴隷でしょ?解放してあげるからじっとしていてね」
俺が言われるがままにしていると女は棒を取り出し「完全解除」と唱える。
すると俺の身体についていた全ての枷がガシャンと言う音と共に外れた。
「一先ず私達はここから出るけど貴方も付いてくる? 」
女の問いに俺は笑顔で答えた。
「勿論だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます