第3話 HERO explodes
今、目の前にはガチムチの半分機械野郎がいる。
「しかし嬢ちゃん、なんでまたヒーローなんてものを?」
どうして? そんなこと考えてなかった。
「真衣、こんな奴の言うことなんて聞かなくていい」
「でも……」
「いいから!」
これまで聞いたことない、大きな声で言われる。
「わかった、あんたのことなんて聞かないわ」
「へぇーそうかい、お嬢ちゃんはこれまで他人の意思で動いていたのかな?」
「いや違う!!!」
康太君が叫ぶ。
「おお、AI君いいねぇ。でもそんなことはどうでもいいんだ、おれは親分から言われたことをするだけだ。俺はカイだ、冥途の土産に持っていきな!」
豪快な右ストレートが飛んでくる。それをもろに食らい、壁に吹っ飛ぶ。痛みが走る。気を抜いてしまっていたのもあり、これまでに感じたことのない衝撃を受ける。
「真衣、大丈夫、ダメージはほとんど吸収した」
「そうなのか、じゃぁもっとダメージをくらわせないといけねぇみたいだな」
「康太君、あいつの弱点調べられる?」
「いけるよ、でも情報を収集したい、だから__」
「ぶん殴ればいいってことね」
「そう! その通り!」
そう云われて、目の前にいる男に向かって走り出し、ドロップキックをお見舞いする。胴体に向かって放たれたドロップキックは、脇腹に命中し、少しよろける。
「いい攻撃だ嬢ちゃん!」
そう云いながら、ドロップキックで体制を崩した私を上から拳でたたきつける。受け身をとる前に攻撃されたため、床に体がバウンドする。痛みをさっきより強く感じる。
「ごめん真衣! ダメージを抑えきれなかった!」
「だいじょーぶ」
立ち上がり、顔に拳を食らわせようとしたとき、腕が展開し、火花が散る、そして炸裂する。
ドカーン!!!
「ええええ⁉」
男が吹き飛び、壁に埋まる。
「嬢ちゃんいいもの持ってんじゃねぇか」
「あれで、まだ話すことができるのか!」
困惑していると。康太君が話始めた。
「今、僕らの必殺技を打ち込んだ。だが、あの感じだと、効いたけどって感じか。でも、前の攻撃も効いてるみたいだから、どんどん攻撃すれば相手は倒れる。回避のサポートを優先するから、攻撃は任せたよ」
「そうなの⁉ でも康太君の判断なら大丈夫か。わかったよ攻撃を続ける」
そう伝えて、男に向かって殴りかかる。大きなダメージを食らった男はよけることもできず、顔面にクリーンヒットする。その隙を見て、もう1発、もう1発と繰り返し腕を振るう。バキボキッと音が鳴り響いている。だが男は
「お嬢ちゃnガハッ! いいパンチdグハッ!」
「口が減らない野郎だなぁ!」
すると、振っていた腕を捕まれ、吹き飛ばされる。明らかにパワーは落ちていて、壁にバウンドする程度であった。
「死ならば諸共だぁ!!!!!」
そう云った男は腕を抱え込む。
「まずい! 自爆する気だ!」
「え? ど、ど、ど、どうしたら⁉」
「ガハハハッ! お頭! あんたの舎弟でいれてよかったぁ!!!」
「そうだ! 真衣左腕で殴れ!」
そういわれたので、真っ直ぐ殴りかかる。インパクトの瞬間、電撃が走った。すると、男が倒れこみ、動かなくなる。
「もう大丈夫だ、真衣、腰についてる手錠で確保を」
「あ、うん」
ガチャリ。手錠をかけ、男を担ぎあげる。階段を上っていくと、そこに機動隊の人たちが立っていた。
「ヒーローの安否確認、男を担いでます」
と、トランシーバーへ話していた。
「あの……こいつどうすれば?」
「ああ、この男は! DASHの神崎快じゃないですか! ええ、あとはこちらで引き取ります。この男、指名手配されてたんですよ、ありがとうございます」
そう云って敬礼をしてくれた。
「その男が犯人だったんですか?」
後ろから恰幅のいいおじさんが話しかけてきた。
「あ、いやその……」
「では、詳しくはこの後伺いますので、まずは体を休めてください。あぁ私は、武村です、あなたの担当刑事です。担当刑事というのは、あなたに出動要請を出したり、出動した先で何があったか、何が起きたかを聞く。それが担当刑事です。ですので、あとでお伺いします」
恰幅のいいおじさんがぺこりとお辞儀をし、去っていく。
「じゃぁ帰ろうか」
その時、トラックが正面で止まる。
「真衣ちゃーんこっちこっち!」
後ろのトレーラーから星野の声がした。
「ここから上がって」
トレーラーに乗ると、中は小さな研究所のようになっていた。
「よぉ嬢ちゃんここでならスーツ外せるぜ」
「あ、はい」
そういえば、さっきの人と豪さんって似てるような……
「あのーさっき、神崎快って人を捕まえたんですけど、豪さんてその人と似てますね」
「おい、今神崎快って言ったか?」
「ええ、今日確保した……」
「そうか、そいつは、おれの弟なんだ。ふっと姿消しやがってよ、気が付けば指名手配されててよ、そうか、嬢ちゃんが捕まえてくれたか。すまねぇな、ありがとよ」
豪さんの瞳には涙が浮かんでいた。
「さぁついたよ」
戻ってきた。
「おかえりなさい真衣ちゃん、どっか怪我とかない?」
「大丈夫です、ありがとうございますセイラさん」
ヘッドフォンをしていた山田さんが
「おお、おかえりなさい、初仕事であの大物を確保するなんてすごいよ君たち!」
興奮して席を立ってしまっていた。
「す、すごかったです」
「吉田さんありがとうございます」
すると、扉が開き、さっきの恰幅のいいおじさんが入ってくる。
「ああ皆さん、今回、どんな経緯で新人の、しかも高校生程度の女性にこの仕事をさせたのか説明していただきましょうか。星野チームリーダー?」
おじさんの顔が悪魔のようだったなんて誰も言っていない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます