第181話 うん……世界終わるね

 ルクスがそう言うと肩を竦めるファウスト。


 皆非常に緊張している。


 ファウストがふざけ気味にからかう。

「べリアスがいなくなって良かったのはこの光景を再び見る日が来なかったことだな」


 両腕を広げ、手に何かが集まる。


 ファウストは繊細に両手を合わせ、手の中に何かが生成されているのを確認した。


「ウリエルさん、あれ、何?」


「はんぶっしつ」


 嘘だろ? 僕達の世界でも未だ欧州しか生成に成功していない代物だ。


 地球文明最強の破壊力を誇る反物質。


 拳大程生成出来れば地球さえも破壊可能な極めて危険な代物だ。


 欧州のセルンが厳重に管理していて一般非公開な筈だ。特別に許可を得た取材陣だけが撮影し、世界に公開した代物。


 ファウストは両手を再び広げると雷音と共に空に放つ。その勢いは凄まじく音速を軽く超えていたであろう。あるいは光速の領域かも知れない。


 天でまばゆい光が起きた瞬間、凄まじい波動が天から伝わってくる。空一面が赤く燃えている。


 美しいとすら思う程、残酷な輝き。大地が揺らいでいる。

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