第153話 アーサーの為を思えば

この世界の人達は本当にお人好しだ。


 人類は同族で殺し合い、戦争の技術を発展させて行った。


 たとえ、エルフ族や死の王だろうと容赦しないのが人類だ。


 人は一人一人良心を持っているが、世界の機構の前に従わざる得なくなる。


「明日、刻印を使う提案をしてみます」


「お前はそれで良いのか? 下手すればお前もこの世界に取り残されるかも知れんぞ」


「今はアーサーの命を優先させます」


 正直、言えば懸念はある。刻印と言う強大な力をどう使うかによって戦況は大きく変化するだろう。


 だが、それでも同胞を救うのがクリストティノスの使命なのだと思う。


 せっかく出来た仲間をみすみす手放すのも惜しい。アーサーの様に無条件で僕を慕ってくれる者なんてそうそういないだろうし。


 裏切りたくない。それも又本心だった。

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