第133話 『創り主』の意向

「デウス・エクス・マキナ」


「…………何が言いたいのです?」


「我の登場する『ファウスト』にもその手法は出て来る。どうしようもない事態になった時、全能の神が現れて全てをひっくり返す。文学や戯曲としては下策の戦法かも知れないが、戦争ならどうかな?」


「僕が困った時、神様が現れて救って下さると言いたい訳ですか?」


「いや、そういう訳ではない。お前の危機に『あの御方』が黙っておられるのか?」


「僕に尋ねられても……」


「まあ、お前はそう言うであろう。問題はお前の『創り主』だ。お前をどの様に設計したのか?」


「『創り主』は悲観的で諦観的で虚無に支配されている様な方だと。それでいて涙と共に神におすがりしている。だから楽観的に考えられる別の可能性の僕を創造したのだと思いますよ」


 真面目に不条理について考えている様な人物だと聴いたことがある。

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