第130話 エルフ族が少ない理由

「すまんな、アラゴン。空島を丸々破壊してしまってな」


「いや、アダムの末裔様の技術を見られたことは貴重な機会であった。しかし、凄まじい……」


 アラゴンも若干引いている。


 人類を破壊の化身か何かと勘違いしてないかなあ? 凄い誤解なのだけども。


「では、編成部隊の完成を待っているぞ」


「見なくて良いのですか」


「エルフは強いには強いのだがな。いかんせん数が足りん。数は力だと言ったろう。兵数は精々千程度しか見積もってもおらんよ」


「そんなに少ないのですか? アラゴン王?」


「申し訳ありません、アダムの末裔様。我々エルフは不老長寿ゆえに増える必要性があまりないのです。大昔は違った様子ですが、文明が洗練され、医学が発展し、遺伝子操作の技術が確立すると繁殖の必要がなくなったのです」


「そうですか。エルフ族は力強い味方であることには変わりません。期待しています」


「もったいなきお言葉でございます。全兵力をもってして死の王を討伐する覚悟は出来ております」


「まあ、そんな緊張しないで下さい。他の種族も頼りにして良いのですから」


 ここで初めてエルフの王の微笑みを見れた気がする。誤解は解かないとね。人類が破滅の使者みたいな眼で視られるのは御免だよ。


「さて、戻るか」


 ファウストはそう言うと魔法を発動させた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る