第119話 ドワーフ族の凄さ

 地下なのか? にしては明るい。人工の太陽の様なものが天井で輝いている。


 古代カッパドキアの地下都市の様に洞窟が入り組んでいる国だ。


 広大な場所もあるし、狭い道もある。まるで迷路の様だ。


「ドワーフの国ですか?」


「うむ、どうやら製鉄所で皆何か造っている様だ」


 三人で歩いていくと物騒なものがそこら辺に並べられているのを目撃した。


「これは大砲ですか?」


「うむ、ドワーフも本気らしいな。かなりの数の大砲を製造している。見たところざっと一万はあるだろう」


「それはそれは又凄いことをしていますね」


「ギムリ、お前達は何をしておるのだ?」


 人だかりが見えたところでファウストは良く通る声で尋ねた。


 ドワーフ達は道を開けたところからギムリ王が歩いてくる。


「虚飾の神か。此度の戦の相手は貴様より強いのだろう。我が軍が誇る大砲を持てるだけもっていくつもりじゃ」


「ドワーフ軍一万全員に大砲を装備させるとは大胆だな」


「お主はわしらを馬鹿にしたいのか褒めたいのか判らんな」


「両方だ。これほどの軍を用意するとは見直したぞ」


「虚飾の神に言われてものう、素直に喜べんわい」


「安心しろ、我は喜んでいる。力強い援軍に」


 そうこう言っている内、ウリエルは蜂蜜酒を見つけ、樽ごと傾けて吞んでいた。


「くう、たまらないねー」


 何度も心の中で突っ込んでしまう。親父か、おまいは。

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