第117話 珍しく自分から誘ってみた

「そうだな。それも確かに。向こうも獅子の如き存在だ。油断すれば食い破られるかも知れんな。ベリアルもいるなら尚更にな」


 構図としてウリエル対ベリアル、大同盟対死の王の形になるのだろう。向こうは夫婦同然だから戦略の立て方も順調と考えられる。


 しかし、大同盟は各国の思惑も反映されている。一枚岩ではない。


「大同盟は機能するのでしょうか?」


「危惧するのはその辺りだな。グノーシス辺りはまだ合わせる気があろうが、べリアスが問題だ。そもそもエルフとドワーフも連携が取れるか怪しいものだ。個々の種族としては強大かも知れんが連携ともなると話も違ってくる。五百年前の二の舞になる公算もしなければならん」


 やっぱり連携取れてなかったんだなあ。敗北の理由が又一つ判った。


 うーん、不安だ。


「ファウスト卿、ウリエルさんと一緒にエルフ族とドワーフ族の国を訪ねてみませんか? どこまで準備が進んでいるか気になりますし」


「構わん。ドワーフの国は美味い肉料理もある。エルフはちと上品な食事を好むがな。まあ、悪くない」

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