第112話 賢老は僕を責めない

 又、グノーシスと会ったのでそれとなく尋ねてみる。


「わしらだけで行っても殲滅するのが落ちじゃろ。エルフ、ドワーフ、マニ王の軍を待っておくのが良い。ソドムには既に使いを出しておる。無闇な戦闘は避けること、そして城塞都市で合流すること」


「本気で世界大戦を起こすつもりなんですね」


「当然じゃよ、世界の存亡はこの一戦にありじゃ。志願兵さえ募っとる状況じゃよ。まあ、国家総動員じゃな、やりたくはないが」


 平和を愛する賢老がそこまでするのか。それ程の事態なのに僕の覚悟は決まっていない。


「逃げてもええぞ。わしは逃げる者を負け犬などと呼ばん。生き残るならそれもありじゃよ。戦いが全てではない。そんな世界は間違っとる」


「いいえ、せめて真実だけは。それに……」


「アーサー達を見捨てることは出来んか」


「不肖の師ですが弟子が立派に最前線に出ることを覚悟している以上、僕も死の王と相対しますよ」


「真実を知る為にか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る