第108話 賢老は人の心を読む
「おう、ファルマコ殿」
グノーシスと風呂場で出会う。
「朝風呂はええのう。景色が良い」
「どこまで予測していますか?」
言いたいことが判っている様でグノーシスは笑んで言った。
「この景色も見納めかも知れんのう。ゴブリンに未来はないかも知れん。いや、コボルト族にもな。エルフもドワーフも生き残れないかも知れん。わしらの敵はそれ程強大じゃ」
ふう、と溜め息を吐いてから賢老はこちらに問うた。
「ファルマコ殿はどちらを取る気ですかな? 世界と家族」
「僕には……いまだに実感が湧かないのです。メランコリアさんが死の王などと言う憶測が」
「じゃが、マニ王はそう言ったのじゃろう、いや、我らが神がか……」
「それでも、彼が何故闇の道に走ったのか知りたい。彼は僕より優れている。信仰生活も長い。その彼が何故死の王なんてなってしまったのか」
理由がある筈だ。
たとえ、悪魔を愛しても彼の神はだた独りのみだ。
主のみが彼の希望の置き所の筈。
僕の生半可な信仰とは異なる彼が選んだ道の理由を知りたい。
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