第106話 虚飾の神が悪い表情をしている

「あの、師匠……」


 あの王の正体に感付いている。さすがは士師だね。


「アーサー、今回は大丈夫だよ。マニ王は僕らの味方になる」


 さて、伝承に伝わる人物はどんな強大な魔法を持っているのか? 興味深いが、今は吉報を伝えることが性急な用事だろう。


「又、これなんだ……」


 スペースシャトルを見てげんなりとする。帰りも嫌な旅になりそうだ。


「それは何だ?」


 マニ王が尋ねて来る。


「天を走る船です……」


「ほう、しかして武器として使えるか?」


「まあ、一応は」


 これだけの代物に体当たりされたら、ひとたまりもないだろうに。


「ダイジョーブ、レールガンついてるの」


 ゾッとする一言だった。本気で?


「レールガンとは?」


「いかずちのたいほーだよ」


「ほう!」

 

ファウストがニヤリと嗤った。


 あ、駄目だ、これ。絶対悪の顔だね。


 さすが虚飾の神。戦争に使えそうなものは使うと言う発想。


 実際のファウストはもっと機微に優れた大人物なのに。これも設定の影響かなあ。


「ファルマコ、いこうよー」


「はいはい」


 恐ろしい味方を造ってしまったものだ。


 圧が急にかかって歯ぎしりをして耐える。


 ほんの数分だ。辛抱しろ。



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