第101話 王について
「この国に入った時辺りからです。この国の統治は異様ですよね。皆いかがわしい行為しか考えていない。ある程度、理性があってもすぐに快楽に耽る。では、農業や製鉄は誰が行っているのでしょうね? 後、軍も腑抜けですね。数だけで寄せ集めの軍にしか過ぎない。決定的だったのはウリエルさんを恐れていないことだ。正に異質でしたね」
「そうか、そこであったか……だが、悪い隠れ蓑ではあるまい?」
「そうですね。あなたの正体を見抜く者を創らせないシステムとしては画期的だったのでしょうね」
「人聞きの悪いな。これでも農業や製鉄を行う者達の理性は残しておいたのだぞ」
「そうですね。そして、食品を加工する術もあるとみています。皆が健康な子供を産む為にね」
「数は力だ。べリアスもグノーシスもその辺りを学んでおらん」
「あなたからすればグノーシス卿すらも掌の上で踊らせておくのは容易い行為だったのでしょう」
「我から見れば、あやつらなんぞははなたれ小僧よ」
「ですが、グノーシス卿には警戒していたと視える」
「まあ、我を訝しんでおったのは事実だからな」
「王家とは良く偽装しましたね。あなたが一人二役を演じていた訳ですか?」
「上手い偽装であろう?」
「僕としては迂闊でしたがね。五百年前の答えを持つ者がそこにいるのに。あなたは僕と同じだ」
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