第100話 愚者の真似事をする王

「ならば、何故滅ぼさん?」


 馬鹿な王ではないらしい。なるほど、先程の自分を恥じよう。この王はやり手だ。


「それは王ご自身が良く理解出来るのではないですか?」


「チマチマやるのが面倒だから一気に皆殺しにする腹か?」


「推測ではありますが」


「ウリエルがいても本人は恐れていないと?」


「死の王については分からないことが多々あるので何とも言えませんが」


「諸君らは死の王の力ばかり警戒していて目的を考えておらん。そもそも、死の王とは何者だ?」


「それはあなたの方が良くご存じでは?」


「……皆の衆、退廷せよ。我はこのアダムの末裔とウリエルの三人で話がしたい」


 アーサー達は心配そうに退室する。


「アーサー、この人達の真似は駄目だからね」


「判っています。師匠こそ……」


 さすがは士師か。王の放つ異様な力に気付いていると視える。


「大丈夫、ウリエルさんがいるんだよ」


 全員が退廷した後、三人が残された。


「いつから気付いていた?」

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