第94話 王国へ出発

「ダイジョーブ、こっちの声は聞こえないようにしてるよー」


「じゃあ、昨日の訓練は何だったの?」


「いきなり圧がかかったらしんじゃうかのうせーもあるからねー。うちゅうをなめちゃだめー」


「要するに慣れかな?」


「そーいうこと。不安とれたー?」


「まあ、一応」


「それじゃー、いくよー」


 いきなり圧がかかる。歯を食いしばれ。耐えるのだ。


 時間が何時間にも感じられる。


 急に圧がなくなってフワッと身体が浮く感覚がした。


「宇宙だ」


 自分達の出発した辺りを見る。見ようとするが、星そのものが青々としていた。とても印象的である。


 ソ連のガガーリンもこの光景と似たものを見て感動したのだろうか? いや、感動したに違いない。


 青い星。水に覆われた惑星。


 美しい。


「いせかいはあおかった」


「いや、それはパクリでしょう?」


 思わず突っ込んでしまったが、この光景を見るとそう言いたくなる気持ちは分かる。


「アーサーもリリウムも皆黙って景色を見ているのかな」


「そうだねー。天なんてみれる人はそうそういないよー」


「そうだね」


「こうかするよー」


「え、ちょ、ちょっと待って。心の準備が……」


 次の瞬間、凄い圧がかかってきた。


 再び歯を食いしばる。ひ、悲鳴だけは何とか抑えなくては。

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